最近よく見かけるようになった「NFTチケット」。
チケット販売大手のローチケも導入した、新しいサービスの一つです。
でも、NFT付きのチケットと普通の電子チケットとの違いはなんでしょうか?
そこで、今回はNFTチケットについて解説したうえで、購入する際の注意点やメリット・デメリットなどを詳しくお伝えしていきます。
また、キャンセルやリセールなどについても触れていきますので、NFTチケットを利用する前にぜひご一読ください!
NFT付きチケットとは?
2022年春、チケット販売大手のローソンチケット(ローチケ)は、NFTサービスを活用したチケットの販売を開始しました。(サービス正式名称:LAWSON TICKET NFT)
最近はローチケに限らず、チケットを探していると「NFT付きチケット」や「NFT記念チケット」といった表記を目にする機会も増えています。
では、NFTチケットとは何なのでしょうか?
NFTとは❝Non-Fungible Token❞の略で、代替不可能なトークンのこと。
トークンには❝本人認証のための記号❞や❝暗号資産❞など様々な意味があります。
NFTを簡単に言うと、ここでは❝自分の権利を証明できるデジタル商品❞という表現が適切だと思います。
つまり、Web上にある電子チケットなどのデジタル商品に❝自分のものという証明書❞が組み込まれていて、記念チケットや特典を自分だけが見られる…ということ。
この仕組みにより、購入した電子チケットと付属するデジタルコンテンツは、その購入者だけのものとなるわけです。
すでにジャニーズ事務所や有名アーティスト、韓国のBTS所属事務所などもチケットのNFT化を公表しています。
今後は様々なチケット販売会社でNFT付きチケットの取り扱いが増えていくことは間違いありません。
人気の高いチケットほど、後述するような不正転売防止と高度なセキュリティ、そして付加価値のあるNFT商品がついた次世代のチケットへと展開していくことになるでしょう。
NFTチケットの特徴
NFT付きチケット…すなわちデジタル資産として価値のあるチケットや付属するコンテンツは、自分だけの思い出ののチケットとなり、自分だけが楽しめる画像や音楽、メッセージボイスなどのデジタルグッズとなります。
後述する技術により、ほぼ未来永劫その価値を損なわない、自分だけの❝デジタル資産❞となるわけです。
しかし、従来のチケットと異なる点も多く、購入前にNFTチケットの特徴を理解しておくことも大切。
ここでは、イベントや公演などのチケットに付属するNFTに焦点をあて、NFT化による特徴を見ていきましょう。
メリット
購入者にとっての一番大きなメリットは、今までの電子チケットにあった「使用後に手元に残らない」という不満が解消されることです。
紙のチケットならライブやイベントの記念に手元に残したり、コレクションしたりできるのに、電子チケットでは端末内にスクリーンショットなどで残すしか方法がありませんでした。
しかし、NFTチケットなら❝記念チケット❞としてのデジタルデータを残せるようになります。
日時や会場、座席などチケット情報をそのまま保管できるので、イベントの大切な思い出を紙チケットのように取っておけるわけです。
さらに、「特典付きチケット」も販売されます。
特典には、例えば、スマホ用の動く壁紙やボイスメッセージ、楽曲や画像などのデジタルコンテンツが挙げられます。
こういった限定コンテンツが付いていると、チケットの価値がより高まりますね!
NFT商品であることは、公認グッズであることの証明にもなるわけです。
NFT商品は偽造できないので、公認グッズとしての価値が保たれるというメリットもあります。
今後さらに拡充され、多様な特典を楽しめるようになるでしょう。
また、NFT化されたチケットの情報は安全性の高いブロックチェーン(分散型台帳)上に記録されるため、発行以降の全ての取引が記録・監視される仕組みになっています。
このため、チケットの偽造ができず、データを盗まれる心配もありません。
チケットや購入者情報の保護という側面も持っているわけです
また、大きなポイントとして挙げておきたいのが、チケットの当選確率がアップする、という点です。
今までは1人で複数枚のチケットを購入できたため、大量に購入し高額な価格で不正に転売する人(転売ヤー)がいました。
そのため、抽選式のチケットに当選しにくくなり、結果的に高額なプレミアチケットがフリマサイトで売買される事態になっていたわけです。
しかし、NFT化することによって、チケットは1枚につきスマホ1台での認証が必要になるため、転売ヤーの大量購入を阻止でき、さらにチケットの譲渡先を販売者が限定できるようになります。
同時に、ブロックチェーン技術によりチケットの動向が監視できるので、転売を繰り返す人への販売を拒否することもできるようになります。
このため、入手困難な人気チケットも入手しやすくなるとみられているのです。
一方、販売する側にも大きなメリットがあります。
特定の条件でしかチケットの譲渡ができないため、不正転売による不利益を被ることがなくなります。
また、デジタル化しているNFT商品の価値を守ることができ、これを転売・譲渡できた場合にもブロックチェーンの技術により、その利益を享受できるわけです。
商品の価値を守ることは、プレミア化したときに所有者のステイタスを守ることにも繋がるので、NFT化によるデメリット(次項)はあっても、双方に利点があると言えるでしょう。
デメリット
通常利用であれば、大きなデメリットはありません。
交換・キャンセル・返品などができないのは、普通の電子チケットも同じですからね。
ただ、チケットに付いていたNFTを出品し、転売することはできないケースがほとんどです。
もちろん、第三者に譲渡することはできません。
(まとめて購入した同行者分のチケットや、認められた範囲での譲渡はできます。)
この点については別項にて詳しくお伝えしますね。
一方で、公演が延期したり、内容の変更が生じたりする場合、NFT商品の配付時期や内容が変更される可能性はありますが、購入の取り消し(キャンセル)はできないことが一般的です。
※ 例:ローチケの規約には、
❝(第11条第4項)対象公演が延期または内容が変更される場合、当該延期後の日程または変更内容に応じ、NFT商品の送付時期または内容が変更される場合がありますが、この場合であっても、購入契約のキャンセルはできません。❞
とあります。
ただし、場合によっては払戻しが実施されることもあります(別項参照)。
また、善良なファンならやらないと思いますが、NFTチケットの加工や改編など本来の目的以外に使用した場合は、NFT商品の閲覧や視聴ができなくなる恐れがあります。
もちろん、NFTを利用できないからといって、返金や損害賠償の請求には応じてもらえません。
前述の通り、NFT化されたチケットはブロックチェーンにより取引が記録されています。
違法な出品(リセール)や加工などを施した場合はペナルティを課される可能性があることを理解しておきましょう。
NFTチケットを購入するには
では、欲しいイベントやライブのチケットが「NFT付きチケット」となっていたら、どうすれば良いのでしょう?
結論から言うと、チケットを購入する前にNFTを利用するためのステップが必要です。
このステップは、ざっくり言うと、
- NFTチケットを管理・閲覧・視聴するためのツール「ウォレット」の作成(開設)
ウォレットとして利用するアプリのインストールが必要。 - NFTを表示するためのアプリ(必要な場合のみ)
- 作成したウォレットと購入したチケットとの紐づけ(連携)
となります。
ちょっと面倒ですが(笑)、アプリの使用開始時だけの登録作業なので、1回やっておけば大丈夫!
以上の作業はパソコンでもできますが、スマホの方が手順が少ないのでおすすめです。
なお、ここで言うウォレットとは❝暗号資産用ウォレット❞のことで、スマホで普及している現金用のウォレットではありません。
NFTは暗号資産と同様に扱うため、ブロックチェーン上に記録されていますが、ここにある自分のNFTチケットにアクセスするための鍵を保管・管理するのが❝暗号資産ウォレット❞なのです。
このウォレットにはいくつか種類があります。
例えば、同じローチケで購入したとしても、公演・イベントによりNFTチケットに必要なウォレットの種類が異なるので、チケット購入時に必ず確認し、必要なアプリをインスト―ル後、アカウント作成などの作業をしましょう。
よく見かける「メタマスク(MetaMask)」もウォレットの1つ。
作業の詳細はこちらの記事でご案内しています。
キャンセル・払戻し・リセールしたいとき
すでに少し触れましたが、ここではもう少し掘り下げて解説したいと思います。
まず、キャンセルについてですが、チケット自体も付属するNFT商品も購入後のキャンセルはできないのが一般的です。
この❝購入後❞というのはチケットの受け取り前・後に関係なく、支払いが完了した時点を指します。
クレジットカードや電子決済を利用する場合は、購入申し込み、あるいは抽選式の場合は当選確定時に決済完了となるため、注意してくださいね。
キャンセルについては一般のチケットと同様の扱いなので、こちらの記事も参考になさってください。
- ローチケ:https://uni-voyage.com/lawson-ticket/
- e+、イープラス(スマチケ):https://uni-voyage.com/e-plus/
- チケットぴあ(クローク):https://uni-voyage.com/ticketpia-apli/
- チケプラ:https://uni-voyage.com/tikeplu/
しかし、代金の支払い後でも返金に応じてくれるケースがNFT付きチケットにはあるんです。
ただし、条件があります。
公演の中止、内容の変更、または払戻しとなって、NFT商品の販売や配付が中止になると返金に該当するケースが多いです。
つまり、基本的に購入後のキャンセルはできませんが、NFT商品が手元に届かない事態になったら返金OKになる、ということです。
言い換えれば、NFT商品が配付されるならキャンセルはできない、ともなりますね。
返金の条件は、公式サイトや購入後に送られてくるメールでの案内を確認するようにしましょう。
もちろん、主催者や出演者、天候や社会情勢などにより公演やイベントの払戻しが決定した場合も、代金は戻ってきます。
いずれの場合にせよ、返金・払戻しの手続きが必要になるのが一般的です。
(一部、自動的に行われる場合もあります。)
メールや公式サイトなどに手続き方法や受付期間が掲載されるので、必ずチェックするようにしてくださいね。
一方、リセール(転売・二次流通・第三者への譲渡)については通常のチケットとは異なります。
NFT商品の場合、通常は❝NFTマーケットプレイス❞と呼ばれるNFT商品専用の運営サイトに出品することによって転売します。
実はNFT商品も合法的に二次販売(転売・リセール)することが可能なんですね。
しかも、ブロックチェーン技術によって、NFT商品の動向が完全に把握できるため、転売により発生した売り上げの一部がロイヤリティ(手数料)として一次販売者(作成者)にも支払われる仕組み。
通常のチケットのように転売による不利益が生じないようになっているんです。
※ NFTマーケットプレイスには「OpenSea」や「LINE NFT」などがあり、それぞれ取り扱うNFTのジャンル(ゲーム、アート、音楽など)があります。
しかし、現在のところ、ローチケなどで販売されたNFTチケットはNFTマーケットプレイスに出品できないものが大部分です。
ライブやイベントの思い出として、あるいは購入者・参加者だけの特典としてデジタル資産として保管していきましょう。
ただし、この点は主催者・出演者の意向や考え方に大きく左右される面もあると思います。
チケットの販売ページにはNFT商品に関する注意事項も付記されています。
NFTマーケットプレイスへの出品が可能かどうかも記載されているので、購入時にしっかりと読んでおきましょう。
譲渡・分配について
従来のチケット同様、購入者が同行者分のチケットをまとめて買うことは、NFTチケットでも可能です。
この場合、購入したチケットを同行者に送る❝分配❞というステップが必要。
分配のやり方は、NFT付きチケットも通常の電子チケットと同様です。
購入者が分配作業を行って同行者とチケットの受け渡しをしてください。
ただし、注意点があります。
まとめて購入したNFT付きチケットには、人数分のNFT商品が付いています。
このNFT商品もまとめて購入者宛に配付されるので、購入者は同行者にNFT商品も配付しなければなりません。
通常、NFT商品を移動する場合、❝ガス(GAS)代❞と呼ばれる取引手数料が発生します。
このガス代が無料でNFT商品の移動ができるのは1回のみ。
もし複数回の移動が可能だとしても、そのときはガス代がかかってきます。
ガス代は暗号通貨で支払いますが、通貨の相場価格などにより変動するため、一定額ではありません。
暗号資産を使い慣れていない人は移動は1回にとどめ、配付先を間違えないように気をつけましょう。
また、同行者も指定された暗号資産用ウォレットを用意する必要があります。
NFT商品を閲覧・視聴するには必要なステップなので、同行者に伝えておくと良いでしょう。
一方、第三者への譲渡は前項のリセールと同様、制限があります。
ただし、スタートエンターテイメント(旧ジャニーズ事務所)が発表しているように、ファンクラブ会員同士のみ譲渡できるなど、限定した枠組みの中で譲渡が可能な仕組みを持っている場合もあります。
これらの範囲は公演やイベント、主催者によって異なるので、予め公式サイトをチェックしておくことをおすすめします。