日本が世界に誇る水族館といえば大阪『海遊館』!
その規模はもちろん、ちょっと変わった展示方法は、マニアから見ても理にかなっており、自信をもって❝一見の価値あり❞といえる水族館です。
でも、その魅力を余すところなく楽しむには、あらかじめ知っておいた方がいい情報も…。
そこで今回は、無類の生き物好きで生物学専攻の当サイト管理人が、念願の「海遊館」を画像たっぷりに体験リポートします!!
この記事では、海遊館で見るべき生き物や知っておくと自慢できるウンチクなど、マニアックに深堀していきます!
こちらの【 前編の記事 】をご覧いただくと、海遊館のコンセプトやランチ・お土産などの基本情報もバッチリ!
併せてご覧ください(#^.^#)
※ 記載内容は執筆時のものです。最新情報は公式サイトをご覧ください。
海遊館にいる生き物
海遊館の特徴は、もう一度同じ水槽に出会えること。
これは水槽がフロアをぶち抜いた構造になっているからです。
つまり、人間が下の階に降りていくことで、超縦長の水槽を上層から中層・下層へと観察できる仕組みなんですね。
通常の水族館だと通り過ぎた水槽を別の深さから見ることはできないので、海遊館のおもしろさが集約されていると言えるでしょう。
各フロアで見られる水槽は海遊館公式サイトで見られるのですが、どの水槽が何階で見られるかはわかりにくいので、書いておきます(^-^)
併せて、海遊館に何がいるのか、代表的な生き物たちも一覧にしておきますのでご覧ください!
【 見られるフロアと主な生き物たち 】
残念ですが、大型海獣のトドやセイウチ、シャチなどは海遊館にはいないんです。
そうそう、SNSで人気のワモンアザラシの母「アラレ」はどこにいるの?…と思われた方、新体感エリアの「北極圏」にいます。
まん丸の瞳と体形に癒されてください!!
※ 息子の「ミゾレ」は❝おたる水族館❞にお引越ししました。元気でね!
見どころ
すでにマニアックな解説もしてしまいましたが、ここでは普通(?)に楽しめる海遊館の魅力をお伝えしていきます(笑)。
たくさんの見どころがあるのですが、小さな子供から大人まで楽しめるという観点から管理人Uni がおすすめすると…
- 飼育の難しいジンベエザメの展示
- マンボウに会える
- ダイナミックなペンギンの遊泳
- 五感に語りかける新体感エリア
- お食事タイム
- 冬季のイルミネーション
…などが挙げられます♪
しかし、注目はやはり太平洋水槽の超ビッグな「ジンベエザメ」でしょう!
世界一大きい魚ゆえに飼育が難しく、見られる水族館は限られているので要チェックです。
大きな体と口ですが、主食はプランクトン。
タイミングが合えばお食事風景が見られますよ。
併せて注目したいのが、世界最大の淡水魚「ピラルク」です。
エクアドル熱帯雨林水槽にいます。
そう、海遊館は世界最大の海水魚と淡水魚を同時に見られる水族館でもあるんですね。
南米の河川に生息するピラルクは、成長すると黒い体色にウロコの縁を彩る赤が現われるのが特徴(写真暗くてすみません)。
ピラルクという名は現地語で❝赤い魚❞を意味するそうですから、現地の人にとってもこの赤が印象的だったんでしょうね。
このウロコは非常に硬く、靴ベラとして使われたほど。
同じくアマゾン川水系に棲むピラニアの鋭い歯から身を守るために硬く進化したのだとか。
過酷な環境でも肺呼吸で生き延びられ、1億年も前から姿を変えずにいる❝古代魚❞ピラルク。
まさに生きている化石と呼ぶにふさわしい姿です。
同じ水槽にいる古代魚「アロワナ」と共に、太古のロマンにも触れてみてくださいね。
さらに、さらに!
子供に人気のペンギンが見られる「南極大陸」もおすすめ!
特に陸地ではよちよち歩いていたペンギンが、水中をはばたくように泳ぐ姿は必見です。
他の動物園や水族館でも見られますが、海遊館は水深があるのでペンギンが自由自在に泳ぎ回る姿は大迫力!
野生ではほとんどの時間を水中で過ごすというペンギンたち。
こんなにも水に適応していたのか…と改めて驚くほどの泳ぎっぷりが見られますよ。
食事の時間になると、陸地で行列して待っている姿もかわいらしいです♪
生き物たちのお食事タイムは下記公式サイトで確認できます。
ぜひチェックしてくださいね!
生きものたちのお食事タイム|イベント・楽しみ方|海遊館 (kaiyukan.com)
ちなみに、ペンギンは新体感エリアにもいます。
こちらは岩場をピョンピョンと移動するイワトビペンギンなので、泳ぐ姿は南極大陸エリアで堪能してくださいね。
また、南極大陸では氷が落ちてきたり、日本の森には滝があったりと、その土地柄をイメージできるリアルな工夫もいっぱい。
特に、新体感エリアでは気温や触覚など肌で現地の雰囲気が感じられ、臨場感も半端ありませんよ。
北極圏をアザラシ目線で眺めたり、サメやエイに触れる場所があったりと、海遊館ならではの楽しみがあるエリアになっています。
そして、忘れちゃいけない「マンボウ」の特設水槽。
水槽の壁にぶつかってしまうため、ビニールでガードされて大切に飼育されています。
頭しかないようなマンボウの体はとても不思議な形をしています。
子どもたちにも大人気!
大きな体のマンボウですが、実はフグの仲間。
くちばしのように固い口の形を見れば納得できますよ~。
ぜひ正面から愛嬌のある顔を眺めてみてくださいね!
ところで、一般的な水族館で見られるようなイルカやアシカなど海獣のショーは海遊館では行っていません。
その代わり、飼育員さんが頻繁に水槽に入り、健康観察したり遊んであげたりしている姿を良く見かけます。
ダイビングで掃除をしている光景も。
飼育員さんたちの深い愛情が感じられ、生き物たちとのコミュニケーションを見ているのも面白いです。
また、入口ゲート付近にあるパンフレットには各水槽の「フィーディングタイム(食事の時間)」が記載されています。
公式サイトでも調べられますよ ⇩
生きものたちのお食事タイム|イベント・楽しみ方|海遊館 (kaiyukan.com)
魚や海獣たちの食事風景は、その生態が良くわかる貴重なタイミング!
何よりも見ていて可愛らしく楽しいので、お食事タイムに合わせて水槽前に行ってみてはいかがでしょうか。
そうそう、夕方5時からは館内の照明が夜モードになり、❝夜の海遊館❞が楽しめます。
月の光に照らされたような雰囲気は、昼間とは別物!
より神秘的に見える生き物たちに魅了されてしまいますよ。
なお、冬季限定ですがイルミネーションも開催しています(詳細は基本情報にて)。
ライトアップや美しいイルミで、インスタ映え間違いなしのビュースポットに早変わり!
海遊館の外(まわり)なので、チケットを購入しなくてもOKなのが嬉しいポイント。
さらに、夕方5時から9時15分まで、15分間隔で開催される音楽と光のショーも無料で楽しめます。
寒さ対策をしっかりして、時間になったら映えスポットまで行ってみるのもおすすめです。
子供向けの楽しみ方
前項のほかにも、チビッ子たちに楽しんでもらえる仕掛けが海遊館にはたくさんあります。
中でも、特に管理人Uni のおすすめは次の3つ。
すたんぷノートは海遊館へ行った記念にもなりそう。
生き物を知るきっかけにもなりそうですね。
対象年齢は3歳くらいから。
親子で楽しむのも良いでしょう。
ニンテンドーDSの案内は、前述の「音声ガイド」のようにレンタル料がかからないのも嬉しいですね。
利用したい人は家から持参しましょう!
イヤホンと充電を忘れずに!!
前述のリストの他に「ぎゅぎゅっとキュート」などのコーナーもあり、人気の❝ニモ❞や❝ドリー❞でお馴染みのカクレクマノミやナンヨウハギなど、小型の水槽でも生き物がたくさん見られます。
チンアナゴやニシキアナゴなどの人気者が勢ぞろいしてますよ。
※ 魚の種類は時々入れ替えられます。
また、モルディブ諸島の魚たちを上から見られるプールは、屋内型として国内最大級!
なんと外周30mという大きさです。
以前、この❝タッチプール❞で行われていたサメとのふれあい体験は、現在❝アニマルウェルフェア(動物福祉)❞の観点から中止となっています。
しかし、水槽を上から見る機会はなかなかないもの。
大きな潮だまりを回遊するかのように、美しい小魚の群れを楽しめますよ。
近くで魚を見られるので、子供に人気のエリアです♪
マニアおすすめの見学方法
ここからはさらに深掘りしたい人向け、管理人Uniがおすすめする海遊館の楽しみ方です。
見過ごしてしまいそうな水槽の片隅や、メイン以外の生物にスポットをあてて紹介していきますと…
- ダイナミックなぶち抜き水槽
- イトマキエイとアカウミガメに会える
- 生き物ファーストの展示方法
- 森から海への連鎖
…は外せないチェックポイントと言えます!!
まずは海遊館の大きな特徴である、1つの水槽を複数のフロアから観察できるという点。
しかも、フロアをまたいだ水深のある水槽は、ジンベエザメのいる「太平洋水槽」だけではありません。
イルカのいる「タスマン海」、アザラシとアシカの「モンタレー湾」もぶち抜きです!
その他、「アリューシャン列島」や「パナマ湾」の水槽も地上部から水中まで❝縦方向❞で観察することができます。
「美ら海水族館」でも高さ10mの巨大水槽でジンベエザメの泳ぐ姿が見られますが、多くの水槽は普通サイズ。
この点を見ても、海遊館の展示方法がいかに大胆か、お分かりいただけるのではないでしょうか?
そこで注目したいのが、水深のある水槽ならではの生き生きとした生き物たちの行動です。
イルカが垂直に潜っていく様子なんて、なかなか見られないですよね!
さらに、併せてご覧いただきたいのが、水槽での棲み分け。
特に深さのある太平洋水槽は、最下層の風景にもご注目ください!
水槽の底へ挿し込む光の束と、明るい水面を背景に悠然と泳ぐジンベエザメの姿。
底部の砂地に映る魚たちの影も、水深のある巨大水槽ならではの見どころではないでしょうか。
自分がダイビングしている気分になれますよ。
海底を這うように泳ぐ種類の魚たちの姿も、ぜひ目に焼き付けてきてくださいね!
続いて注目頂きたいのが、「イトマキエイ」と「アカウミガメ」です。
太平洋水槽ではジンベエザメに人気が集まりますが、マニア的にはイトマキエイこそじっくり見て頂きたい生き物です。
…というのも、イトマキエイの飼育例は非常に少なく、長期飼育に成功していつでも見られるのは世界でも恐らく海遊館だけ!!
これは海遊館がイトマキエイを餌付けできたからなんですね~。
なので、海遊館にしかいない生き物(と言っても過言ではない)といえば、イトマキエイ!!となるわけですw
ちなみに俗にいう❝マンタ❞とはオニイトマキエイとナンヨウマンタのことを指します。
両種は頭部の先端に口がありますが、イトマキエイは腹側にあるので見分けがつきますよ。
また、アカウミガメは個体数の減少が心配されていて、環境省のレッドリストでも絶滅危惧種に指定されています。
※絶滅危惧IB類 (EN):近い将来、野生での絶滅の可能性が非常に高い種類です。
極地と赤道付近を除く世界中の海で見られるアカウミガメですが、太平洋の北側で産卵場所になっているのは日本沿岸のみ。
私たち日本人にはアカウミガメを守る重大な責任があります!!
産卵場所の海岸や沿岸域もきれいにしてあげたいですね。
甲羅を上から見るとハート形になっているアカウミガメはカップルにも人気あり♡
ぜひご覧あれ!
そして、海遊館全体を通して感じることなのですが、非常に❝生き物ファースト❞な展示構成になっています。
例えば、イルカやアシカのショーがなく、人間との自然なコミュニケーションからは共生という言葉の本当の意味を考えられます。
また、「海月銀河」の展示方法はシンプルな照明のみ。
昨今はLED照明でカラフルにライトアップされたクラゲの展示も見られますが、これではクラゲ本来の美しさを見ることができません。
ブルージェリーフィッシュの妖しいまでの青さ(※)、ウリクラゲやカブトクラゲの虹のような煌めき、アトランティックシーネットルの繊細な触手のゆらめき…どれをとっても非常にフォトジェニックです。
※ 青くない個体もいます。
最低限の光で浮かび上がるクラゲの姿は、その神秘的な透明感を私たちに見せてくれます。
もちろん、ショーやライトアップにはそれぞれの良さがありますが、海遊館ではぜひ❝本来の姿❞を学んで帰りたいものです。
そして。
海遊館が教えてくれるのは、もう一つのコンセプト❝Ring of Life❞…生命の環です。
海遊館の展示は、水族館にも関わらず❝森❞の展示からスタートします。
なぜでしょう?
それは、豊かな海を育てるのは、豊かな森だからです。
山に降った雨は植物や腐葉土に蓄えられ、ゆっくりと栄養分を溶かしながら、やがて海へと注ぎ込みます。
その栄養分でプランクトンや藻類が育ち、それを求めて魚や貝が集まってくるのです。
もし木が伐採された山だとどうなるでしょう?
雨は山肌を土砂と共に一気に流れ落ち、海へ注がれます。
栄養分が乏しく濁った水は、海の生き物の栄養源にならないばかりか、海底へと注ぐ光を遮り、海藻類の成長を阻害してしまうのです。
こういった状態を❝磯焼け❞といい、卵の産み付け場所もなくエサのいない海に魚たちは集まらなくなります。
豊かな森がないと、海もそこに住む生き物たちも生きていけません。
森の生命は海の生命へ。
❝生命の環❞の出発点として、海遊館の展示は森からスタートするのです。
子供の夏休みの自由研究にテーマとして使えそうですね(笑)。
さてマニアックついでに海遊館の輝かしい実績もご紹介しておきましょう。
- カラスエイ:繁殖賞を受賞(日本動物園水族館協会)
- イトマキエイ:世界初となる飼育展示に成功(2008年)
- ジンベエザメ:健康診断用採血を世界で初成功(2013年)
- ミナミイワトビペンギン:人工授精に世界で初成功(2016年)
- イヌザメ、トラザメ、ジンベエザメ:全ゲノム配列の解析完了(2018年)
水族館としてだけでなく、研究機関としても挑戦し続ける海遊館。
高知県には「海洋生物研究所 以布利(いぶり)センター」もあり、調査研究も熱心に行っています。
海遊館で成果が展示に活かされ、やがて海との共存に役立つことを願って止みません。
海遊館さん、応援しています!
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