ツアーのキャンセル料は決まってる!航空券や新幹線、ホテルはどう?

急な仕事や病気・ケガ…予定していた旅行に行けなくなることもありますね。
中には新型コロナウイルスの世界的流行によって、渡航先に入国できなくなったり、自粛したりといった事態もあります。
そんなとき、予約したツアーや自分で手配した航空券・ホテルなどのキャンセル料はどうなるのでしょうか?
ここでは、旅行にまつわるキャンセルの法律と、予約先の違いによるキャンセル料や申し出るタイミングについて、詳しく解説します!
目次
キャンセル料とは?
ツアー旅行や飛行機、ホテルなど、予約を取ってから出かけることが多いですね。
でも、この予約というのは、売買が成立した「契約」のこと。
先方は予約が入った時点で、部屋・席などを確保し、利用日が近づけば費用をかけて清掃や食事などの準備をします。
それを無駄にする❝キャンセル(取り消し)❞という行為は、それまでに発生した人件費や諸経費などの損害を相手に与える可能性があるのです。
その損害を補償するのが「キャンセル料」です。
あくまでも相手が受けた損害に対して支払うものですから、予約数ヵ月前のキャンセルなど新たな予約を受けられるような、つまり、損害を十分に回復できる条件の場合は、キャンセル料は発生しません。
これは「消費者契約法9条」という法律でしっかりと守られているキャンセルする側の権利です(詳細は『ホテルなどの宿泊施設』にて)。
注意するべきなのは、同じ航空会社・同じホテルだったとしても、
- 旅行代理店のツアーの場合→「標準旅行業約款」に基づく規定
- 自分で直接予約した場合→その会社のキャンセル規定
- グレードやプランによって、同じ会社でもキャンセル料が異なる
といった違いがある点です。
申し込み時にキャンセル規定をよく確認しておくことが大切なのですが、どのくらいの違いがあるのかを知っておくと、どのタイミングで対応するべきかがわかります。
詳しくは各項をご覧くださいね。
ツアーのキャンセル料

ツアー旅行は正式には「募集型企画旅行」といい、この場合のキャンセル料は国土交通省の標準旅行業約款(第16条第1項関係)で定められています。
約款のままだと難しいので、概要を簡潔に書くとこんな感じです(団体旅行を除く)。
国内旅行
区分 | 取消料(キャンセル料) |
旅行開始前日の20日前から8日前まで (日帰り旅行は10日前から) | 旅行代金の20% |
旅行開始前日の7日前から1日前まで | 旅行代金の30% |
旅行開始前日 | 旅行代金の40% |
旅行当日 | 旅行代金の50% |
旅行開始後または無連絡不参加の場合 | 旅行代金の100% |
海外旅行
(日本出国時又は帰国時に航空機を利用ならびに日本外を出発地及び到着地とする募集型企画旅行契約)
区分 | 取消料(キャンセル料) |
旅行開始日がピークのとき旅行開始前日の31日前から40日目まで | 旅行代金の10%以内 |
旅行開始前日の2日前から30日前まで | 旅行代金の20%以内 |
旅行開始前日の1日前(=旅行開始日の前々日)以降 | 旅行代金の50%以内 |
旅行開始後または無連絡不参加の場合 | 旅行代金の100%以内 |
国内旅行では約3週間前、海外旅行では約4~5週間前からキャンセル料が発生することがわかりますね。
その後は出発日に近づくにつれてキャンセル料が高額になっていきます。
しかし、旅行前日のキャンセルでも、ツアーなら半額は返金されるので、意外と損はしないものです。
無理に行かずにキャンセルをして、体調や状況が良くなってから行くほうが楽しめるかもしれませんね!
個人で手配したもの(航空券、ホテルなど)

一方、個人旅行や出張など、自分で手配した航空券やホテルなどの宿泊施設を自己都合でキャンセルする場合、どのようになるのでしょうか?
結論からいうと、航空券やホテルなどのキャンセル規定は、その運営会社が独自に決めています。
また、「じゃらん」「楽天トラベル」など旅行の検索サイトから申し込んだ場合でも、その申込先の規定が適用されるので、注意が必要です。
では、それぞれのケースで具体的に見てみましょう。
航空券はLCCだと返金少ない
サービスを最小限にする代わりに、格安運賃で飛行機に乗れるのがLCCの魅力。
でも、それゆえに乗客側の理由によるキャンセル時の規定はシビアで、払い戻しができない、または金額が少ない傾向にあります。
代表的なLCCの例を挙げてみましょう。
peach(ピーチ航空):運賃タイプにより違いあり
- シンプルピーチ
支払い済みの運賃・料金・手数料の払い戻しはなし。
- バリューピーチ
出発1時間前までに取り消せば、運賃から取消手数料¥1,100を差し引きいた差額をピーチポイントとして返却。
- プライムピーチ
出発1時間前までに取り消せば、運賃の全額をピーチポイントとして返却(取消手数料¥0)。
払い戻しができる場合でも、スーツケースなどの受託手荷物、座席指定などの手数料はオプション扱いのため、払い戻し対象外となるのが一般的です。
また、返金方法は支払ったクレジットカード会社を通じて行われることもありますが、peachのように相当額のポイントとして返却されることもあります。
なお、LCC側の原因や払い戻しを認めた予約に関しては、それぞれの規定に応じた金額(ポイント)が返金されます。
払い戻しされない場合、もう一つの手段として、キャンセルではなく予約を変更する、という方法もあります。
変更がきくチケットの場合、出発の48時間前までなどの期限はありますが、日時の変更ができることが多いのです。
ただし、変更するための手数料や、変更した便との運賃差額が生じます。
飛行機の利用自体を取りやめるのではなく、先々乗る可能性があるのなら、予約を変更するほうがお得かもしれませんね。
レガシーキャリアはタイミングにより金額変化
従来の行き届いたサービスを提供する「レガシーキャリア(フルサービスキャリア)」は、LCCに比べ、乗客側の理由によるキャンセルでも返金される割合が高いといえます。
しかし、重要なのはキャンセルを申し出るタイミング。
また、国内線と国際線で取り扱いが違う点も要注意です。
全日空(ANA)
国内線
- 予約変更ができる航空券
購入以降、航空券の有効期限満了日の翌日から起算して30日以内 - 予約変更ができない航空券
購入以降、予約便出発予定日の翌日から起算して30日以内 - 支払い済み運賃から払戻手数料¥440と取消手数料(※)を差し引いた額を払い戻し可能。
※取消手数料の例
次の運賃相当額:搭乗日55日前まで¥0、45日前まで運賃の30%、28日前まで40%、14日前まで50%、出発時刻前まで60%、出発時刻以降100%など
国際線
- ANAで発行された航空券およびEMD
- 旅行開始日(または発行日)から1年と30日以内に、eチケット控えを確認できたものから申請可。
- 旅行開始前
支払い済み運賃から手数料を差し引いた金額と税金等を払い戻し可能。 - 旅行開始後
支払い済み運賃から搭乗済み区間運賃と手数料を差し引いた金額および未使用の税金等を払い戻し可能
※適用運賃に取消手数料が定められている場合は、その金額も差し引かれる。
日本航空(JAL)
国内線
- 航空券の有効期間内および有効期間満了日の翌日から起算して10日以内。
支払い済み運賃から取消/払戻手数料(出発前¥440、出発後¥440+運賃額の20%など)を差し引いたものを払い戻し可能
国際線
- 旅行開始前:航空券発行日*から1年30日以内。
支払い済み運賃から取消手数料を引いた金額と税金等を払い戻し可能 - 旅行開始後:旅行開始日から1年30日以内。
支払い済み運賃と搭乗済区間に適用となる運賃の差額から取消手数料を引いた金額、および未使用の税金等を払い戻し可能
このように、取消/払戻手数料がかかりますが、タイミングによっては8割近くの返金も可能なので、LCCに比べればかなり安心です。
ただし、他航空会社にて交換発行したものや、一部の電子証票(EMD)はANAやJALでの払い戻しの適用となりません。
いわゆる「早割」のような割引運賃で購入した航空券の取消/払戻手数料は高額になる傾向があります。
条件によって対応の方法が異なるため、詳細は各航空会社の公式ウェブサイトや窓口へ問い合わせることをおすすめします。
なお、レガシーキャリアでも航空会社側の理由や天候によるキャンセルは、別の対応となります。
2020年の新型コロナウイルスに関しても、キャンセルを手数料なしで受け付けるなど手厚い特別対応を取っています。
ANA 新型コロナウイルス特別対応(各対応一覧)
JAL 新型コロナウイルス特別対応(各対応一覧)
この辺りもサービスの行き届いたキャリアならではの安心感がありますね。
また、通常時でもケガやインフルエンザなどでキャンセルする場合は、手数料なしで対応してくれる特別措置もあります。
ただし、事前に医師の診断書を提示するなどの手続きは必要です。
新幹線
予約した新幹線をキャンセルする場合も、運賃の払い戻しが可能です。
ただし、以下のような条件と手数料が発生します。
切符 | 払い戻しの条件 | 手数料 |
普通乗車券 自由席特急券 自由席グリーン券 | 使用開始前かつ有効期限内 | ¥220 (往復・連続でも同じ) |
立席特急券 | 出発時刻まで | ¥220 |
指定席特急券 指定席グリーン券 | 出発日の2日前まで | ¥340 |
〃 | 出発日の前日から出発時刻まで | 30% (ただし最低手数料¥340) |
通常は「乗車券+特急券」のセットで買うことが多いですよね。
すると、一般的な払い戻し金額の合計は、
- 自由席
乗車券¥220+自由席特急券(またはグリーン券)¥220=¥440 - 指定席
乗車券¥220+指定席特急券(またはグリーン券)¥340=¥560(出発2日前まで)
となります。
また、一度に往復または連続の区間を購入した場合は、まとめて1つの手数料とカウントされます。
普通席の場合は乗車日が決まっていないので、期限内の手数料は一律¥220ですが、指定席の場合は出発前日から代金の30%ととなってしまう点に注意しましょう。
なお、払い戻しは、JRの駅(窓口)、旅行センター、主な旅行代理店などで可能です。
ただし、クレジットカードで購入した場合は、同じカードを持参することが必要です。
注意しましょう。
また、JR側の事情による運休などは、手数料なしで払い戻されるのが一般的です。
ホテルなどの宿泊施設

航空券同様に、ホテル・旅館・民宿などの宿泊施設も客側の自己理由でキャンセルする際は、その運営会社の規定が適用されます。
多くの場合、宿泊施設側がキャンセルによって不当な不利益を被らないような範囲で、キャンセル料と申し出のタイミングが設定されていることが多いです。
それぞれ独自の設定なので例外もありますが、大雑把にいうと、次のような傾向が見られます。
- 観光エリアのホテル・旅館
2日~7日前20%、前日40%、当日50%、連絡なし100% - ビジネスホテル/シティホテル
前日20%、当日80%、連絡なし100%
都市よりも観光地の方がキャンセル発生の時期が早いところが多いですね。
これは観光地では朝食・夕食を含めた予約であることから、食材など仕入れの問題も絡んでくるためです。
この範囲であれば、客側も「仕方がない」と思えるレベルでしょう。
なお、ハイシーズン中や年末年始などは別のキャンセル規定や予約金制を設けているところもありますから、気を付けてくださいね。
また、すべての宿泊施設が良心的なわけではありません。
キャンセル規定を自由に設定できる以上、施設側に損害が少ないタイミングにも関わらず、法外な請求をされる事例も少なからずあるのです。
このような場合、「消費者契約法9条」の違反となる可能性があるので、訴えることもできます。
この条文には、
次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
消費者契約法第9条第1項
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
とあり、簡単に言い換えると「施設側が受けた平均的な損害の金額を超えてキャンセル料を請求したら、無効にするよ」という感じです。
宿泊施設の予約は、施設と客との契約によるもの。
予約するたびにキャンセル規約もしっかりと理解しておくことが大切ですね。
旅費の返金・ポイント返還の方法

キャンセルしたときに気になるのが、返金の方法と時期。
これは旅行代理店や航空会社・ホテルなどの規約に則って、手続きが行われます。
対応は各社様々ですが、よくある事例を紹介しましょう。
決済方法 | 返金方法 |
現金 (店頭、電話、コンビニ振込、銀行振込など含む) | 指定口座への振込 (口座を連絡する必要あり) |
クレジットカード デビットカード | クレジットカード会社を通して返金 (引き落としのタイミングなどにより返金時期は異なる) |
マイル | 手数料を払えば全部あるいは一部戻る(※) →JAL,ANAなど多くの航空会社 戻らない→マイルで特典予約などをした場合 |
クーポン | 自己都合によるキャンセルでは返還されないことが多い |
旅行券・ギフト券 | 現金書留などで郵送返却(券種が変わることもある) |
このように、代金の支払い方法で、返金方法もかかる時間も異なります。
返金までの手続きや受け取りを考えると、多少時間はかかりますがクレジットカードで支払っておくのが一番手間いらずですね。
旅行保険のついたクレジットカードなら安心もついていて、旅先でも便利なのでおすすめです。
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