海外旅行などで飛行機を利用する場合、気になるのが荷物の量。
機内持ち込みの手荷物には制限があり、大きさや重さなど注意が必要です。
また、スーツケースなど預け入れる大きな荷物も無料と有料の場合があり、自分の旅に必要な荷物の量と無料の範囲を予め調べて準備すると、お得に旅行できるようになります。
そこで、ここでは旅行に欠かせないスーツケースの最適な大きさとTSAロック、飛行機利用時の荷物制限について、わかりやすく紹介していきます。
サイズの測り方
一口に「スーツケース」といっても、大人が入れるほどの巨大なものから書類サイズのコンパクトなものまで様々。
実物を見ればイメージしやすいですが、ネットなどで購入するときはサイズを必ずチェックして判断しましょう。
スーツケースのサイズ表記には、
- 衣類などを収納する内側部分にあたる「内寸」
- ケース外側の「外寸」
- ハンドルやキャスター部などを含めた「総外寸」
があります。
一般的に、航空会社などでは「総外寸」で荷物を管理していることが多いので、購入時もこの部分を見て選ぶようにしましょう。
各サイズは内寸・外寸・総外寸とも次のように表します。
- 幅(横)
- 高さ
- 奥行(厚さ・マチ幅)
一番重要な「総外寸」は、ハンドル(持ち手・引き手)やキャスターなどの出っ張った部分を含めた長さとなりますが、ハンドルは収納した状態(一番短い状態)で測ります。
スーツケースのサイズは、総外寸の幅・高さ・奥行の長さの合計で表すのが一般的です。
また、内寸の容量も示されていることが多いので、併せてチェックしておきましょう。
スーツケースの大きさの分類
このようにして測った総外寸3辺の合計によって、スーツケースのサイズは次のように分類されることが多いです。
なお、海外メーカーなどの場合、「㎝」ではなく「in(インチ)」で表記されていることもあります。
分類 | 総外寸(3辺合計:㎝/in) | 容量(ℓ) |
Sサイズ | ~115㎝/~45in | ~39ℓ |
Mサイズ | 131~139㎝/52〜55in | 40〜69ℓ |
Lサイズ | 144〜155cm/57〜61in | 70〜89ℓ |
LLサイズ | 153cm~/60in〜 | 90L〜 |
宿泊数に最適なスーツケースの大きさ
それでは自分の旅行にぴったりのサイズは、どのくらいなのでしょうか?
海外旅行は旅程も長いことが多く、衣類だけでもかなりの量に。
まずは宿泊日数を目安に、適切なスーツケースを用意するようにしましょう。
分類 | 旅行の長さ(1人分) |
Sサイズ | 1泊~3泊 |
Mサイズ | 3泊~5泊 |
Lサイズ | 5泊~10泊 |
LLサイズ | 10泊以上 |
ただし、気温の低い地域へ行く場合は、かさばる防寒着やセーターをたくさん持っていくことになるため、枚数は同じでもボリュームが増えてしまいます。
少しゆとりのあるサイズを用意するのがおすすめです。
同様に、衣類以外にも滞在先で必要なものがある場合は、それらも含めた分量でサイズを考えるようにしましょう。
例えば海でシュノーケリングする場合、用具を持参するならば、水着のほかにゴーグルやシュノーケル、フィンやマリンシューズなども入れることになりますね。
これって意外と収納スペースが必要です(;^_^A
さらに、お土産をたくさん購入する予定がある場合も、大きめを選んでおくと安心です。
特に壊れやすいものは、頑丈なスーツケースの中に収納して飛行機に載せるようにしましょう。
一方で、ゆとりがたっぷりあれば良いのかというと、そうではありません。
無駄にスペースが空いていると、中身が偏ってスーツケースを転がしにくくなったり、せっかく畳んだ衣類がグチャグチャになったりします。
むやみに大型を買うのではなく、適正サイズを選ぶのがおすすめです。
スーツケースの中に衣類を固定するバンドや間仕切りが多いタイプだと、スペースが空いても安心ですよ。
この点を考えると「エキスパンダブル」と呼ばれる機能付きが便利。
これはマチ部分がアコーディオン状に折りたたまれており、ファスナーや金具を調節することで、荷物の量に応じてスーツケースの容量を変えられる優れものです。
スーツケースの選び方とポイント
スーツケースの大きさは宿泊数だけでなく、滞在先で必要な衣類やレジャー用品などで選ぶのが第一です。
しかし、同じサイズの様々なスーツケースの中からどれを選ぶのが良いのでしょうか?
次の3つのポイントをチェックするのがおすすめです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
重さ:軽量スーツケースがおすすめ
スーツケースに衣類などを詰め込むと、想像以上に重くなります。
凹凸のない道やエレベーターなどが整った場所は良いですが、砂利道や階段など、スーツケースを持ち上げる場面も少なからずあるので、重すぎると負担になる場合も。
特に女性や小柄な人は軽量タイプを選ぶと良いでしょう。
最近ではポリカーボネイト製の超軽量タイプも見られます。
外側から強い力が加わるとへこみますが、元の形に戻るので、衣類中心の荷物であればおすすめです。
しかし、壊れ物を詰めるなら、ハードケースの頑丈なタイプが良いでしょう。
海外では空港での荷扱いが悪いところが多く、スーツケースを投げられる場合もありますが、ハードケースなら多少の力が加わってもへこまないので比較的安心です。
キャスターとハンドル・引き方:移動も快適に
スーツケースのキャスターには「2個タイプ」と「4個タイプ」があります。
2個タイプはキャスター側にスーツケースを倒して斜めに引っ張るものですが、4個タイプは斜めでもまっすぐ立てたままでも転がせます。
また、キャスター自体が固定のものと、360度回転するものがあります。
固定だと決まった方向にしか進まないので小回りがききにくいのですが、360度回転するものなら自由自在に動かすことが可能です。
このため、少々割高にはなりますが、操作性を優先するならキャスターは4個タイプで360度回転するものを選ぶのがおすすめです。
さらに、段差があってもキャスターが大きいほどスーツケースを楽に転がせるので、大きさもよく見ましょう。
2個のタイヤが1対になっている“Wキャスター”と呼ばれるタイプなら、より安定した移動や静置が可能です。
材質も様々ありますが、移動時の音の大きさ・操作性などを考えると、多少弾力のあるタイプがおすすめです。
一方、ハンドル(引き手)は、長さを調節できるものがほとんどです。
数段階の調節ができるものや、好みの位置で固定できるものなどありますので、使いやすい方を選ぶと良いでしょう。
閉じ方(フレーム式・ファスナー式)
スーツケースには両面開き・片面開きがありますが、これを閉じるとき、縁の部分に金属製の枠(フレーム)がついていて、そこを合わせて金具でロックするタイプと、枠の代わりにファスナーが付いているタイプがあります。
ファスナー式はとても軽量ですが、ぐるっとファスナーを閉めるのが少々手間取る点と、最悪の場合、ナイフなどででファスナー部分を切り裂き、短時間で中身が盗まれる可能性があることが難点と言えば難点です。
貴重品は絶対に肌身離さず、手回り品と一緒に座席まで持ち込むようにしましょう。
一方のフレーム式はハードタイプやアルミ製のスーツケースであることが多く、頑丈ですが、どうしても重い傾向にあります。
どちらもキーや暗証番号などでロックできるので、軽さ重視の人はファスナー式がおすすめです。
ロックについては次項もご覧ください。
TSAロックについて
アメリカの領土へ渡航するのに必須と言われているのが「TSAロック」。
アメリカ運輸保安局が認可したロックシステムのことです。
9.11の同時多発テロ以降、アメリカを中心に機内預け入れの荷物の検査が厳しくなり、状況によっては強制的にスーツケースなどを開け、目視検査することが認められるようになりました。
このため、鍵のかかったスーツケースが目視検査の対象になった場合、スーツケースや鍵を壊して検査をされても持ち主は文句を言えないのです。
スーツケースに鍵を掛けなければ問題ないのですが、あまりの無防備さに不安を感じますよね?
そこで開発されたのが「TSAロック」。
TSAロックがついていれば、自分のキーや暗証番号でロックを掛けていても、空港の担当官が持つマスターキーで解錠できるので、壊されずに済むというわけです。
アメリカ仕様のシステムなので、ヨーロッパやアジアなどへの旅行にはTSAロックがなくても問題ありませんが、トランジットでアメリカ領土を通過する場合には必要な機能となります。
現在では多くのスーツケースに標準装備されているので、TSAロック付きを選んでおくと良いでしょう。
なお、TSAロックが付いていないスーツケースでアメリカへ行く場合には、TSAロック付きのスーツケースベルトや南京錠を利用し、スーツケース本体には鍵を掛けずに預け入れると良いですよ。
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こんな選び方も…
使用頻度にもよりますが、一週間程度の海外旅行なら、TSAロック付きの軽量スーツケースのリーズナブルなものを買うことをおすすめします。
通常のバッグなら良いものを買って、大切に長く使うこともできますが、スーツケースを取り扱うのは仕事として荷物を運搬する人たち。
お客様ファーストのホテルマンだけではありません。
経験上、高級スーツケースは確かに頑丈で壊れにくいですが、傷だらけになって手元に戻ることもしばしば…。
それなら…と割り切って安いものを購入し、貴重品や壊れ物はスーツケースに入れないようにするんです。
リーズナブルな価格でも、ここで上げたポイントを踏まえて選べば使いやすいですし、Uniのスーツケースは壊れたことはありません。
年に1回程度しか使わず、ブランドにこだわらないのであれば、価格と機能だけで決めるのもよいと思います。
「そんなに頻繁に旅行に行く予定がない」「持っているけど、今回の旅行のサイズに合わない」…などという人は、レンタルを利用する方法も。
リーズナブルなものや高級品まで、色や素材、機能も豊富に取り揃えているショップもあるので、検討してみるのも良いでしょう。
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飛行機とスーツケースのサイズ
飛行機への荷物の預け入れ(受託手荷物)は、各航空会社によって定められています。
ポイントは外寸と重量。
どちらも満たしていないと適用外となるため、有料になったり預け入れを拒否されたりします。
国際線の場合について、具体的に見ていきましょう。
※ 最新情報は各航空会社サイトでご確認ください。
一般航空会社の場合
エコノミークラスの場合、多くの航空会社で規定の範囲であれば、1人につき1個まで無料で預け入れることができます。
中には重量制を用いている会社もあり、その範囲であれば10個程度まで持ち込みできる場合もあります。
例として日系航空会社のJALとANAを見てみると、どちらも重量は1個あたり23㎏以内ですが、総外寸の合計値はJALが203㎝、ANAが158㎝と大きな差があることがわかります。
また、海外の主要な航空会社を見てみると、ほとんどの航空会社で23㎏以内、157~158㎝となっています(一部例外あり)。
どの航空会社を利用するかは行先によって変わる可能性が高いため、“どんな旅先でもOK”という利便性を考えると、スーツケースの総外寸合計は157㎝まで、荷物を詰めた状態で23㎏以内に収まるようにするのが安心です。
LCCの場合
LCCと呼ばれる格安航空会社では徹底的な低コスト化を図っているため、燃料の消費に響く荷物の重量は厳しくチェックされます。
エコノミークラスでは、
- ジェットスター
- ピーチ
- エアアジア
など、多くのLCCで別料金が必要となり、多くは事前申し込み制ですが、空港での手続きが可能なところも一部あります。
ただし、路線や出発地、座席により異なる場合が多いので、フライト予約時によく確認しておくようにしましょう。
また、チェックイン時に予約した荷物の重量を超えていると、その場で超過料金を支払うことになります。
なお、預け入れ荷物の料金を支払うLCCでは、一般航空会社の規定よりも大きいサイズ・重さまで許容範囲となっていることが多いです。
このため、前項のように総外寸合計157㎝まで、重量23㎏以内を目安にスーツケースを用意しておけば、想定外の追加料金とならずに済むでしょう。
機内持ち込みの手回り品
小型のスーツケースやキャリーケース、ボストンバッグなら、預け入れせずに手荷物として客室に持ち込む方法もあります。
こういった手荷物として、貴重品など身の回りのものを入れたハンドバッグや小型のリュックの他に、ラップトップバッグや小さなボストンバッグなどを持ち込む人がほとんどです。
そのため、身の回りのものと手荷物を併せた規定が、各航空会社によって細かく定められています。
では、その量や大きさ、内容などはどのように決められているのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
どのくらいまで持ち込める?
機内持ち込みの荷物は運行の安全を確保するため、多くの航空機のエコノミークラスで2個までとされ、サイズと重量の制限がされています。
手荷物は頭上の棚に、身の回りのものは前の座席の下に収納できることが条件なので、このような規定になっているわけですね。
また、空港で購入した免税品などの袋も1つにカウントされるので、購入時はサイズ、重量に気を付けましょう。
例として、日本を代表するJALとANAを見てみると、持ち込み可能数は1人2点まで、総重量10㎏という点は同じですが、手荷物の規定には次のような違いが見られます。
- JAL
身の回りのもの1点と手荷物(W55cm×H40cm×D25cm)の合計2点、総重量10㎏まで - ANA
100席以上の場合:身の回りのもの1点と、手荷物(55cm×40cm×25cm以内)1点、総重量10㎏まで
100席未満の場合:身の回りのもの1点と、手荷物(45cm×35cm×20cm以内)1点、総重量10㎏まで
なお、別途料金を支払えば、追加で持ち込むことも可能ですよ。
一方、荷物の重さにシビアなのがLCC。
多くのLCCで合計7㎏までとされており、サイズも若干小さめです。
例えば、
- ジェットスター
身の回りもの1点と手荷物1点の合計2点、総重量7㎏まで - ピーチ
身の回りのもの1点と手荷物1点の合計2点、総重量7㎏まで
(ただし手荷物の外寸が40㎝×50㎝×25㎝以内) - エアアジア
身の回りのもの(外寸40cm x 30cm x 10cm以内) 1点と手荷物1点(外寸56cm x 36cm x 23cm以内)、総重量7㎏まで
となっています。
このように、手荷物の規定も航空会社により違いがあるので、必ず確認しておきましょう。
航空会社の公式ウェブサイトはもちろん、チケットにも明記されていることが一般的です。
また、コードシェア便を利用する場合やトランジットする際は、その航空機の規定が適用されるので、よく確認しておきましょう。
持ち込み禁止品とは?
安全・防犯上の理由から、機内に持ち込めるものには制限が設けられています。
液体品やナイフなどが持ち込み禁止品として有名ですが、中には制限付きで持ち込めるものもあります。
詳しくはこちらの記事をご覧くださいね。
まとめ
飛行機に預け入れる荷物や機内に持ち込む荷物には様々な制限があり、その規定は航空会社によって様々です。
利用する便や航空会社は毎回異なりますから、旅行バッグを購入するときは、多くの航空会社の規定に引っかからないサイズにすると良いでしょう。
また、スーツケースなどは移動時の負担が少なく、セキュリティに優れいるものがおすすめです。
このような点を考慮すると、飛行機に乗るときの荷物は次のように準備しておくと良いでしょう。
預け入れ荷物(受託荷物):スーツケースの場合
- 総外寸合計157㎝以内、荷物を詰めた状態の重さ23㎏以内
- ポリカーボネイト製
- ファスナー式
- キャスター4個タイプ
- TSAロック仕様
機内持ち込み荷物(手回り品)
- 身の回りの物1点と手荷物1点の合計2点まで
- 上記2点の合計重量はLCCが7㎏以内、その他10㎏以内が主流
- 手荷物サイズは航空会社や飛行機の棚の大きさによって変わるので、搭乗する航空会社の公式ウェブサイトや航空チケットの注意書きを確認した方が良い。
範囲を超えてしまった場合、追加料金を取られたり、もう一つ荷物用の座席を購入することになったりします。
余計な出費を防ぐためにも、航空会社の規定をよく確認しておくことが大切です。
また、荷物をコンパクトに収納したり、まとめたりするテクニックも重要。
便利グッズを使えば追加料金を支払うことなくお得に荷物を預けられ、トラブルの回避に繋がるものもあるので、こういったものを利用するのも一法です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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