飛行機の搭乗前に必ず受けるのが荷物検査。
衝撃的な「9.11同時多発テロ事件」以降、セキュリティは強化され、チェックはより厳しいものになりました。
空港内や飛行機での移動中、さらに渡航先で使いたいものなどは、積み込まないわけにいきませんね。
でも、持ち込めなければ没収されてしまうので、空港まで持参しても無意味な結果にもなりかねません。
また、パソコンなどの電子機器は持ち込めるのか、複数の航空機を乗り継ぐ場合はどうしたら良いのかなど、持ち込み品に関する疑問を持つ人も多いのではないでしょうか?
そこで、ここでは飛行機の国際線の荷物の制限について、まるごと解説していきます。
旅行前に絶対チェックしておきましょう!
はじめに
飛行機に「持ち込めるもの」あるいは「持ち込めるが制限のあるもの」については、国際的な航空法や関係法規に基づいて定められています。
さらに、渡航国当局により更なる規制を受ける場合もあるので、搭乗する便や航空会社の規定を把握しておくことが大切です。
なお、日本での規制対象の詳細は国土交通省のサイト で確認できますが、代表的なものや特に注意したいものについては、本記事で例をあげて紹介しますので、最後までご覧ください。
なお、機内に持ち込んだ場合は法律違反となり、50万円以下の罰金の対象となります。
法令違反にならないよう、持ち物には十分注意しましょう。
絶対に持ち込めないものの例
量の大小に関わらず、手荷物としてはもちろん、預け入れ荷物(受託荷物)としても持ち込めない物品について確認しておきましょう。
これらには事件や事故を引き起こす可能性が高いもの、人や機体に危害を与える可能性があるものなどが該当します。
中には身近なものもありますが、使い方によっては凶器や爆発物の一部となりうるものも持ち込み禁止の対象となっていますので、注意しましょう。
禁止品を持参したことに気づいた場合の対応は、別項をご覧ください。
可燃性・爆発性のもの
爆発の恐れがあるものや燃料、引火点が60℃までの燃焼性が高いものが該当します。
ただし、これよりも引火点が高ければ、OKとなるものもあります。
- 多量のマッチやライターの燃料
- 花火・クラッカーなど火薬を用いたもの
- 高圧ガス(コンロ用カセットボンベ、医療用以外の酸素スプレー、徐塵スプレー)
- ペンキなどの塗料、シンナー、接着剤(引火点が60℃までのもの)
- スキー・スノーボードなどのワックス、リムーバー(液体・ペースト状のもので引火点が60℃までのもの)
- ストーブ(家庭用・キャンプ用)
- 70度を超えるアルコール飲料
など
有毒物質、酸化性物質、腐食性物質
- 殺虫剤、農薬など有毒性のもの
- 漂白剤・カビ取り剤などの酸化性あるいは腐食性のあるもの
など
手荷物として持ち込めないものの例
客室に手荷物として持ち込むことはできないけれど、スーツケースなどの中に入れれて貨物室に預ければ飛行機に積めるものがあります。
これらには、人を傷つける恐れのあるものや、使い方によっては凶器となりうるものが該当します。
機内でどうしても使用するものでなければ、初めから預け入れ荷物に入れておく方が良いでしょう。
鋭利なもの
人を傷つける可能性がある刃物やそれに類するものが該当します。
- 包丁、ナイフ、ハサミ、カッターナイフ、ペーパーナイフ、剃刀などの刃物
- 千枚通し・キリなどの先が著しくとがったもの
※爪切りはOKですが、甘皮用のナイフが付いたものは禁止です。
用い方によっては凶器となりうるもの
およそ60㎝以上ある長くて頑丈なものや、鋭利なパーツを含むものなどが対象になります。
規定より短い、あるいは強度がないなどの条件を満たしていれば、客室内に持ち込めることもあります。
- バット、ゴルフクラブ、ゲートボール用などのスティック
- アイススケート靴、バトン
- 釣り竿や三脚(折りたたんだ状態で60㎝を超えるもの)
- ハンマーなどの工具類、スタンガン
など
液体物(持ち込みの例外あり)
ここでいう「液体物」とは、完全な液状のものに加え、ジェル状のもの、噴霧できるものなど、“容器に入れないと形状が保てないもの”を指します。
お茶やジュース、アルコールなどの飲料類はもちろん、調味料や水分を含んだ缶詰、ペースト状のレトルトパウチやチューブ入りの食品も該当します。
また、ローションやクリーム、噴霧式スプレーなどの化粧品、香水、整髪料、マウスウォッシュや歯磨き粉、洗顔フォーム、液体除菌剤、消炎鎮痛剤、虫除けなども対象となります。
これら液体物の場合、1つの容器につき100mlを超えるものは持ち込めません。
ただし、持ち込む方法もあります。
詳しくは別項『持ち込みの制限があるもの』をご覧ください。
預け入れ荷物(受託手荷物)として預けられないものの例
スーツケースなどに入れて預けることはできませんが、手荷物として客室に持ち込むことは認められているものがあります。
ライター、電子タバコ
喫煙用のライターに限り、ガス式・電子式ともに身につけていれば持ち込めます。
オイル式のものは吸収剤(綿)入りであればOKです。
電子タバコは充電式なので、リチウム電池を内蔵していますが、手荷物として持ち込むことは認められています。
ただし、機内での充電はできません。
携帯電話などの予備電池
いわゆる充電器にはリチウム電池が使われているものが多く、これが発火の原因となることがあるため規制の対象となっています。
次のように、製品の規格によっては客室内への持ち込みはできますが、受託手荷物にはできないので、注意が必要です。
リチウムイオン電池(モバイルバッテリーなどの予備電池)
- ワット時定格量100Wh以下のものは個数制限なし。
- 100Whを超え160Wh以下のものは1人2個まで。
- 160Whを超えるものは持ち込み不可。
持ち込みの制限があるもの
手荷物や預け入れなど、飛行機への持ち込みが禁止となっていますが、基準を満たしていれば持ち込める物品もあります。
ここでは、そのような「持ち込み制限」について、どうすればどこに持ち込めるのか、解説していきます。
リチウム電池
モバイルバッテリーなどの予備電池については前述のとおりですが、電子機器本体に内蔵されるリチウム電池も規制の対象となります。
まず、携帯電話・タブレット・パソコン・カメラなど、一般的な電子機器であれば内蔵リチウム電池も小型のため、規制の対象となりません。
故障や破損防止のためにも、手荷物として持ち込みましょう。
預け入れる場合は次項『壊れやすいものはどうする?』をご確認ください。
なお、小型であってもリチウム電池やそれを内蔵する機器を預け入れられない国・空港もあるので、注意しましょう。
一方、大型のリチウム電池(リチウム含有量2gまたはワット時定格量160Whを超えるもの)については手荷物・預け入れともに規制の対象となるので、航空会社の規定を確認しておきましょう。
乾電池
一般的な乾電池(マンガン電池、アルカリ電池)は基本的に手荷物・預け入れともOKです。
ただし、航空会社によっては機器から電池を取り外して載せることが条件となっていることがあります。
携帯型のヘアアイロンなどは電池を外して手荷物として持ち込みましょう。
液体物
前述の通り、国際線では1つの容器につき100mlを超えるものは持ち込めません。
ただし、100ml以下の容器のものを1リットル以下のジッパー付き透明プラスチック袋にまとめて入れられる量については持ち込み可能です。
小型の容器の物を購入したり、詰め替えたりして持ち込むようにすると良いでしょう。
ただし、例外もあります。
乳児用の飲料や離乳食、食事療法用の食品、コンタクトレンズの保存液、薬品保冷用の保冷剤などは、検査員へ申告することで、必要と認められる量に限り持ち込むことができます。
壊れやすいものはどうする?
パソコン・タブレットなどの電子機器、カメラなどの精密機器、あるいはガラス・陶器など壊れやすいものを飛行機に載せたい場合、どうすればよいでしょうか?
多くの航空会社では、手荷物として機内に持ち込むことを推奨しています。
なぜなら、預け入れ荷物は乱暴に扱われることが少なくないため、破損・故障のリスクが高まるからです。
ただし、手荷物とする場合には、定められた個数・サイズ・重量以下でなければなりません。
これらの規定は航空会社や飛行機の棚の大きさによって変わるので、同じ航空会社であっても便によって異なることもあります。
一般的には、
機内持ち込み荷物
- 身の回りの物1点と手荷物1点の合計2点まで
- 上記2点の合計重量はLCCが7㎏以内、その他10㎏以内
と規定されていることが多いです。
一方、これら手荷物規定の範囲を超えるのであれば、預け入れ荷物にしなければなりません。
前述の通り、預け入れ荷物は荷扱いが悪いことが多いので、クッション材や衣類などで十分に衝撃を和らげられるように梱包した上で、ハードタイプのスーツケースのような頑丈なケースに収納する必要があります。
また、預け入れ荷物にも規定があり、一般的には、
預け入れ荷物(受託荷物):スーツケースの場合
- 乗客1人につき1点(無料・有料は航空会社や座席のクラスによる)
- 総外寸合計157㎝以内
- 荷物を詰めた状態の重さ23㎏以内
であることが多いので、注意しましょう。
さらに、電子機器の場合は電源をオフにし、可能なものは電池を取り外して預け入れます。
なお、電子機器に内蔵されるリチウム電池には別途規定があります。
詳しくは前項をご覧ください。
また、次のリンク先の記事にて機内持ち込みのサイズや重さ、また電子機器の持ち込みに関する注意事項などを解説しています。
なお、強化された保安検査についても、こちらのリンク先にてご紹介しています。併せてご利用くださいね。
トランスファーやコードシェア便での注意
目的地へ行くまでに別の飛行機に乗り換える「トランスファー」や、複数の航空会社が同一の路線を共同運航する「コードシェア便」を利用する場合、手荷物や預け入れ荷物には原則的にその便の航空会社の規定が適用されます。
したがって、トランスファーする場合は乗り換え前後の便の両方の規定を満たしていなければなりません。
また、コードシェア便の場合は名目上の航空会社ではなく、搭乗する便の航空会社の規定を知っておく必要があります。
これらの情報は、チケット購入時やチケットに記載されていますので、よく確認して荷造りするようにしましょう。
また、乗り継ぎをする場合、機内で購入した酒類などが次の保安検査で引っかかり、持ち込みできなくなる可能性もあります。
十分に気を付けましょう。
持ち込み禁止と気づいたらどうする?
手荷物の中に入れてしまったものが、持ち込み禁止だった場合、どうすればよいでしょうか?
手荷物や乗客は、搭乗時に保安検査場でX線検査などの厳しいチェックを受けます。
このとき、持ち込み禁止品や許可範囲を超えたものは、次のいずれかの対応をすることになります。
- 預け入れ可能なもの
→荷物カウンターまで戻り、預け入れ荷物として預ける。 - 預け入れできないもの・持ち込みを諦めるもの
→所有者の意思で放棄し、放棄品箱に入れる。 - 禁止品の放棄を拒否した場合
→航空会社より搭乗を拒否されることもあり
保安検査で引っかかる人が多いほど、搭乗に時間がかかることになります。
スムーズな搭乗のためにも、事前に持ち込みの可否を確認しておくと良いですね。
海外旅行に持っていく一般的な手荷物は、重量や個数、ある種の制限を守ってさえいれば、飛行機に載せることが可能です。
貴重品や壊れやすいものを除けば、前述のように一部の例外を除き、手荷物よりも預け入れ荷物の方が規制が緩いので、どうしても機内で使いたいもの以外はスーツケースなどに入れて預けてしまう方が良いでしょう。
なお、日本帰国時の手続きは事前登録できるサービス「Visit Japan Web」が超便利!
詳しくは上記リンク記事をご覧ください!