【 国内線・国際線 対応版 】
セキュリティチェックが厳しくなったものの、医療器具や医薬品は規制の対象外。
ですが、なんの手続きもせずに飛行機に乗れるわけではないケースもあるのが現状です。
そこで、この記事では医薬品や医療器具ごとに、
などについてまとめました。
少しでも不安なく飛行機に乗れるよう多くの航空会社から情報を集めましたが、細かい規定は様々で、渡航先の法律による違いもあります。
最終チェックは予約した航空会社や渡航先の案内やルールに従い、漏れのないように手続きしてくださいね!
なお、障害のある人が知っておきたい搭乗時や割引のポイントはこちらの記事🔗で紹介しています。
併せてご利用ください!
航空会社により申請の基準や方法が異なります。
申し込みにあたって各公式サイトをご確認ください。
保安検査と医療器具
2022年、飛行機を利用する時のセキュリティチェック「保安検査」が義務化されたのを知っていますか?
X線やCT画像、金属探知機により、搭乗客自身と手荷物に規制対象品が含まれていないか、より厳密なな検査が行われるようになったのです。
飛行機の安全な運航を守るためには必要不可欠な保安検査。
ただ、医療関連の用品には危険物に該当するものが含まれていることもあり、持ち込み可能かどうか気になる人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、これらの「サポート用品」のほとんどを客室に持ち込んだり貨物室に預けたりすることができます。
しかし、そのためには規格や数量、サイズや重量をチェックし、安全を確認することが必要です。
実際、各航空会社ではこれらのサポート用品を持ち込む搭乗客のために、事前の準備を呼びかけています。
これを怠ると、当日の空港で手続きに時間がかかったり、用品の放棄を求められたりし、最悪、搭乗拒否となる可能性もゼロとは言えません。
航空会社側も数百人レベルのお客の命を守る責任があるため、安全上問題がないと確認できなければ断固たる姿勢を貫くことになるのです。
そこで今回は、病気やケガを抱えた人の生活に欠かせない医療用品を飛行機に持っていくための方法をまとめました。
航空会社により方法に多少異なるため最終的には搭乗する航空会社や便、渡航先の国に合った対応が必要ですが、その前段階として本記事を活用してただけると思います。
持ち込みたいものがあったら遠慮せず、必要な手続きをして正しく持ち込み、機内や目的地でも快適に過ごしましょう!
なお、一般的な機内持ち込みルールについてはこちらの記事で解説しています(^-^)
持ち込めなかった場合の対応も掲載しているので、併せてご参照ください!
医薬品(飲み薬・塗り薬・点鼻薬・点眼薬)
普段飲んでいる薬・使用している薬は「機内持ち込み」「預け入れ」可能。
ただし、航空会社によっては市販薬なら外箱・ラベルや説明書、処方薬なら処方箋のコピーなど薬の詳細がわかる書類などを持参すると安心。
海外の場合は、目的地の言語で書かれた説明書などを持参するか口頭で説明できるようにしておく。
※ 吸入器、医療用ボンベは別項にて解説しています。
医薬品にはドラッグストアなどで購入できる「市販薬」と、医師の処方箋が必要な「処方薬」がありますが、市販薬・処方薬のどちらも事前の手続きなしで持ち込みOKです。
機内持ち込み手荷物の中に入れても、預け入れ手荷物の中に入れても大丈夫。
もちろん、機内で服用するのもOKです。
薬の種類(錠剤・カプセル・粉・液体)に限らず持ち込み量の上限は指定されないのが一般的ですが、液体物は機内で使用する分に限り認められていることが多いです。
目薬や点鼻薬などは1本あれば機内で使うのに十分な量だと思うので、予備は預けてしまいましょう。
注意したいのは、殺菌・消毒や冷却を目的にスプレータイプの医薬品を国際線に持ち込む場合。
1容器 0.5kg(ℓ)以下のものを、1人あたり2kg(ℓ)まで機内持ち込みや預け入れができます。
ただし、国内線でもJALに薬を持ち込む方は要注意。
「医薬品」「医薬部外品」または厚生労働省より認可が下りて製薬されたもののみ持ち込み可、さらに、1容器0.5kgまたは0.5リットル以下で、お一人様2kgまたは2リットルまでとされています。
参考:薬は機内へ持ち込むことができますか。 (jal.co.jp)
なお、国内線では保安検査場、国際線では保安検査場と税関で、持ち込んだ薬について聞かれることがあります。
念のため、市販薬ならラベル付き瓶や箱などの外装ごと、あるいは説明書などを持っていくのがおすすめ。
提示した方がスムーズに検査が終わりますよ。
海外旅行の場合は英語で説明できれば問題ないことが多いですが、英会話や専門用語に不安がある人は製薬会社の公式サイトにある「くすりのしおり」の英語版をダウンロードもしくはコピーして持参すると完璧です!!
一方、処方薬の場合は処方箋のコピーや「お薬手帳」を持参するのが簡単。
処方箋は処方薬と引き換えに渡してしまうので、窓口で薬剤師にコピーをもらえないか頼んでみましょう。
コンビニでコピーしてから調剤薬局に持ち込むのもアリです。
英語の処方箋が欲しいときは、かかりつけ医に相談してみてくださいね。
なお、❝サプリメント❞は薬ではなく食品です。
海外の保安検査や税関で、薬と勘違いされると説明が面倒だと思う人は預け入れ荷物の方に入れるのがおすすめです。
補聴器
基本的には連絡不要で「機内持ち込み」「預け入れ」とも可能。
ただし、電波を発するもの、充電タイプ、パーツに磁石を用いたものは注意。
耳の不自由な人にとって欠かせないのが補聴器。
保安検査場では補聴器を付けていることを告げればOK。
希望すれば筆談にも応じてくれますよ。
電波を発しない(Bluetooth、FMなどのワイヤレス接続を使わない)機種であれば、電源を入れたまま装着して搭乗できます。
電波をものは機長の案内に従い、離着陸時は電源を切ってくださいね(スマホと一緒です)。
また、電源として電池(ボタン電池、単三電池)を使っている場合も、そのまま搭乗OK。
ただし、予備の電池は1つまで。
預け入れ手荷物に入れてもいいし、機内持ち込みにしても大丈夫です。
気を付けたいのは、充電式の補聴器を使っている場合。
補聴器の充電ケースにリチウムイオン電池が内蔵されているのですが、このケースは機内持ち込み手荷物として持ち歩いた方が安心です。
実はリチウムイオン電池は規制対象品となっており、160Whを超える物は飛行機に持ち込めないんです。
でも、国内で一般的に流通している補聴器の充電ケースは制限に引っかからないので、預け入れも機内持ち込みも問題ありません。
※ 預け入れの場合は電源を完全に切ることが条件です。
ただ、そもそも充電器が制限対象になっているのは、発火の危険があるから。
そのため、電源を完全に切れない充電ケースの場合は、機内持ち込みが唯一の方法ということに。
また、保安検査場でチェックを受けるときに、ケースにバッテリーの規格(ワット時定格量:Wh)が明示されていれば安心ですが、無表示の場合は取扱説明書など規格がわかるものを持参するとベストです。
さらに、家族や会議など複数人の声を拾える❝据え置き型マイク(テーブルマイク)❞などには固定用に磁石が付いている場合があります。
このような磁石は磁力が強いものが多く、保安検査で引っかかることがあります。
スーツケースなど預け入れ手荷物の中に入れ、機内に持ち込まないようにするのがおすすめです。
補助具(杖、義手・義足)
- 杖、松葉杖
そのまま持ち込みOK(先端が鋭利なものはNG) - 義手・義足
装着しているもの:長さに関わらず装着したまま搭乗OK。
装着していないもの:60㎝以下なら機内持ち込み可、それを超えるものは預け入れ手荷物に。
杖や義手・義足などの補助具は事前連絡不要で飛行機に持ち込めます。
補助具を利用・装着したまま飛行機に乗る場合、長さの制限も免除されるので、そのまま持ち込めますよ。
※ 通常は客室内には長さ60㎝を超える物は持ち込めません。
歩行を補助する目的で使われる杖やステッキ、視覚障害者用の白杖、ケガをしている人の松葉杖なども対象。
木製・金属製などの材質も問いません。
保安検査場でチェックを受ければ大丈夫ですよ。
飛行機の中では座席の下に寝かせておく、または座席上の収納棚に入れるなど、客室乗務員の指示に従ってくださいね。
同様に、義手・義足も本人が装着しているものに限り、そのまま搭乗可能です。
保安検査時も通常は外す必要ありません。
長さが60㎝を超えていても問題なし!
ただし、スペアの義手・義足や、使用する本人以外が飛行機に持ち込む場合で、サイズが大きいものは預け入れ手荷物に入れましょう。
預け入れる場合でも障害者本人のものであれば無料で引き受けてくれることが多いです。
※ 梱包は厳重に!この場合は事前に問い合わせた方が良いでしょう。
保安検査場の金属探知機(ゲート)で反応するので、ゲートを通る前にスタッフに申し出るのがおすすめ。
ハンディタイプの探知機などでチェックを受けられますよ。
最後に軽く義手・義足部分に触れて確認されることもありますが、同性のスタッフが対応してくれるので大丈夫。
なお、セキュリティが厳しい空港や強化期間だったりすると、別室で外すよう言われることも…。
(CTやエックス線などの確認をすることもあります。)
念のため、取り外ししやすい服装・靴などで行くのもおすすめです。
車椅子
事前申告が必要だが、貨物室に預けられれば無料で飛行機に載せられる。
ただし、サイズ・重量・バッテリー容量などの規制あり。
車椅子は飛行機に載せられますが、客室内に持ち込むことはできません。
基本的に貨物室へ預けることになります。
航空会社によっては専用のケースやカバーに入れて、大切に輸送してもらえますよ(LCCはそのままが多いですが)。
また、スーツケースなどの一般的な預け入れ荷物とは別扱いしてくれるので、車椅子の分は無料です。
ただ、ここで問題になるのが車椅子のサイズと重さ。
貨物室のスペースは限られており、飛行機の特性上、機体のバランスを保つために、制限があるのです。
このため、車椅子を飛行機に載せるときは、予約もしくは予約後に航空会社の所定の窓口へ以下の事項についての連絡が必要です。
- 「手動車いす」「電動車いす」のどちらか
- 折り畳みの可否
- サイズ(奥行・横幅・高さ)
- 重量
- 電動車いすの場合はバッテリーの種類(電動の場合)
ただ、折り畳めないもの・リクライニングできるものなどはスペースに収まらないことも…。
取り外し可能な部位や、飛行機のサイズによって預かれる車椅子の条件が変わるので、絶対に連絡しておいてくださいね。
なお、手動で折り畳める車椅子であれば、予約後にインターネットなどから申し込みできるケースもあります。
予約時に確認しておきましょう。
当日、車椅子を空港カウンターなどで預けたあとは、空港用の車椅子に乗り換えるのが一般的。
タラップ式の飛行機の場合、搭乗にサポートが必要な場合は、航空会社がリフトなどを用意してくれます。
こちらの記事で紹介しているので参考にどうぞ(^-^)
このようなサポートを受けるためにも、車椅子と併せて❝歩行状況❞を申告することが必要。
機内の座席でシートベルトを締められるかもチェック項目です。
これは飛行機などで非常事態が発生した場合に備え、車椅子利用者の安全を確保するためにも重要な申告となります。
海外でも航空業界で広く使われる❝SSRコード(スペシャル・サービス・リクエスト)❞を利用して、歩行状況を登録するのが一般的です。
SSRは身障者に限らず、子供用の食事や大型手荷物を持ち込むなど、搭乗客のニーズをコードで分類したもの。
車椅子の場合は「SSR WCH」などで表されることが多いです。
多少の文言に違いはありますが、次に挙げる項目が一般的です。
該当するものをすべて選んで申告(Web、メールフォーム、電話、FAXなど)すればOKですよ。
申告のタイミングや方法は航空会社によって異なるので、案内に従って行ってくださいね!
ストレッチャー、保育器など
予約前に要確認(航空会社により判断が異なる)。
利用できる場合は「医師による診断書」「対応窓口への連絡」「付き添い人」などが必要。
保育器については持ち込める航空会社が非常に少なく、調査した限り明記されていたのはANAだけでした。
参考:飛行機のご搭乗に際し診断書が必要になる場合のご案内|ANA
一方、機内の座席の一部に組み立て式のストレッチャーが設置できる航空会社は、ANA・JALをはじめ数社が対応しています。
どちらも利用にあたっては、事前連絡のうえ、以下の準備や対策が必要です。
なお、空港までの移動は各自で手配することになります。
また、搭乗時のストレッチャー利用料や座席使用料などが発生するので、担当窓口に連絡した際に費用を確認しておくようにしましょう。
体内に金属がある(ペースメーカー、金属製固定具など)
事前の連絡不要(そのまま搭乗OK)。
保安検査時は申告した方がスムーズに通過できる。
ペースメーカー(埋め込み型除細動器)や骨を固定するためのボルトや棒など、医療器具が体内に入っていても事前連絡せずに飛行機に乗ることができます。
機内の気圧が低くなっても、これらの器具や装着している人に影響を与えにくいからです。
(手術直後などは医師の許可が必要です。)
ただし、金属製の部品のため、空港の保安検査場にある金属探知機が反応してしまう場合があります。
※ 金属の材質や総量によっては反応しないこともあります。
検査に引っかかるとやり直しとなり2度手間に…。
そこで、保安検査場のスタッフに「ペースメーカーを付けている」「人工関節を入れている」などと申告するのがおすすめ。
すると、ゲート式の金属探知機ではなくハンディタイプの探知機や接触検査で確認してくれるので、一回でパスできますよ。
同性の検査員がやってくれるので、安心してくださいね。
さらに、医師の診断書や処方箋のコピー、障害者手帳や日本股関節研究振興財団のシールなどを検査員に提示すると、もっとスムーズに対応してくれます。
持っていなければ無理に用意しなくても大丈夫。口頭で係員に伝えましょう。
なお、大型空港には従来型の金属探知機ではなく、ボディースキャナーの導入が進められており、この場合は金属に反応しないので他の搭乗客と同じように保安検査が受けられます。
保安検査場に掲示されているポスターなどで確認しましょう。
また、金属探知機やボディスキャナーなどを通過すること自体が不安な人も、検査員に申し出ましょう。
機器を使わずに接触検査でチェックしてくれますよ。
自己注射器(インスリン、エピペンなど)
事前連絡の必要なし。
使用する量を目安に機内に持ち込める(予備は預け入れ荷物に入れる)。
ただし、スムーズな通過するには「処方箋のコピー」などを持参すると良い。
(海外の税関・保安検査用には現地語または英語で用意する)
糖尿病用のインスリン注射、アレルギー疾患用のエピペンなどの自己注射器は、危険物に該当しないので問題なく持ち込めます。
航空会社への事前連絡や診断書も不要。
針や液体を扱うのでNGかと思いがちですが、国際線・国内線ともに持ち込めますよ。
※ 一部の渡航先の保安検査や税関を除く。
ただし、保安検査場で❝自己注射器だから問題なし❞と確認してもらうことが必要です。
そのためには、自己注射器であると証明できるもの(例:処方箋のコピー、主治医の証明書、糖尿病患者用IDカード)を係員に見せるのが一番!
診断書のような大げさな物は必要ないですが、証明できるものがあれば保安検査をスムーズに通過できますよ。
海外旅行の時は英語もしくは現地の言語バージョンも持っていきましょう。
なお、持ち込める量は機内で自分に使う分のみと明記している航空会社も見られます。
この場合、予備は預け入れ荷物に入れることになります。
…が、貨物室は温度が保てず薬剤が変質する可能性や、ロストバゲージ(預け入れ荷物の紛失)も考えられます(特に寒いエリアを飛行するとき)。
※ 温度が保てる貨物室もあります。
現地で薬を使えない状態になったら、危ないですよね。
そこで、心配な人は航空会社に連絡し、予備も含めて機内に持ち込めないか確認するのがおすすめです。
また、機内への持ち込み・使用には問題ありませんが、そもそも機内で使うことに問題がないかの確認は必要です。
主治医に聞いておきましょう。
(一般的な自己注射器は気圧が異なる機内でも問題なく使えますが、特殊な疾患の場合は念のため)
そして、機内で注射器を使用した場合、針は必ず持ち帰りましょう。JALで
は客室乗務員に頼むと持ち帰り用の針ケースをもらえます。
なお、一部の航空会社では、人目に付くところでの注射器の使用は避けるように案内しています。
その他、航空会社により扱いが異なる部分もあるので、必ず確認しておきましょう。
確認のついでに、糖尿病の人は低糖質の機内食への変更も手続きしておけば安心です。
ちなみに、血糖値を測る必要がある人で、測定器にバッテリーが組み込まれている(=電池式ではない)場合は要注意!
インスリン注射は持ち込みOKでも、バッテリーの規格が規制に引っかかる可能性があります。
念のため、併せて確認おくのがおすすめです。
喘息用吸入器:メプチンなど
飲み薬、吸入薬など保安検査場で提示の必要はあるが、持ち込み可。
ただし、ガス式・電動式の吸入器は持ち込みに注意が必要(事前連絡・診断書など必要な場合あり)。
海外の航空会社は診断書が必要な場合があるので要確認。
厚生労働省「アレルギー疾患の現状など」(平成28年)によると、日本にはおよそ800万人の患者がいると言われている❝喘息(ぜんそく)❞。
小児から高齢者まで幅広く、ほとんど発作の起きない人から油断できない人まで症状や頻度も様々。
かくいう当サイト管理人Uni も娘も喘息持ちです。
喘息を持っている人は、旅行に行くとき、
- 発作が起きないように日々使用する「長期管理薬」
- 発作が起きたときに使う「発作治療薬」
の2種類を持っていくと思います。
冒頭の通り、どれも医薬品・医療機器として認められるので、機内に持ち込むことができます。
ただし、吸入薬に関しては、吸入器(インヘラー)のタイプによって注意が必要なんです。
まずガス式のスプレー(エアゾール製剤)の場合。
ボタンを押し込むとプシュッと音がして薬剤が放出されるタイプですね。
「メプチンエアー」「サルタノール」「アイロミール」などを使っている人が多いでしょうか。
これらはほとんど事前連絡なしで持ち込み可能です。
※ JALは連絡必要(参考:ぜんそく (jal.com))
小型のガスボンベに相当する部品が含まれていますが、予備はスーツケースに入れて預けても大丈夫。
持ち込めるのは、機内で使う分(1本)のみとなっています。
次に、電動式のネブライザーの場合。
小児喘息では、アンプルに入った液体の薬を霧状にして吸入する方法を取ることが多いですね。
ネブライザーには電源型、充電型、電池型といろいろ。
そのため、ANA・JALをはじめ多くの航空会社では事前連絡が必要です。
診断書や、メーカー名・製品名・型番・バッテリーの種類などを連絡し、持ち込めるかを必ず確認するようにしましょう。
ちなみに、機内では電源がないことが多いので、コンセントが必要な電源型は持ち込んでも吸入できません。
充電型はリチウムイオン電池の規格により持ち込めない場合がありますが、小型のネブライザーなら申請しておけばほとんど持ち込みできますよ。
当日はネブライザーの確認をするので、空港カウンターへの立ち寄り時間を指定されることもあります。
一方、以下にあげるガス式でも電動式でもない吸入薬は事前連絡の必要がありません。
基本的に持ち込めるのは機内で使う分だけなので、予備はスーツケースに入れて預け入れましょう。
でも、ロストバゲージなどに備え、錠剤などは少し余分に機内に持ち込んでおくのがおすすめですよ。
【 自分で吸い込むドライパウダータイプの吸入薬 】:事前連絡なしで機内持ち込み・預け入れOK
・ディスク型吸入器:「フルタイド」「アドエア」「セレベント」など
・縦型吸入器:「シムビコート(ブデホル)」、「パルミコート」など
もちろん飲み薬やシール型の薬も問題ありません。
これらは別項で紹介した飲み薬などと扱いは同じです。
【 飲み薬・シールタイプの薬 】:事前連絡なしで機内持ち込み・預け入れOK
・飲み薬:「シングレア」「モンテルカスト」など
・貼り薬:「ホクナリンテープ(ツロブテロール)」など
機内に持ち込む場合は、いずれの薬も保安検査場でチェックを受けることが必要です。
お薬手帳や処方箋のコピーを提示するとスムーズですよ。
なお、トルコ航空のように一部の航空会社では、喘息の患者にも医師の診断書が必要なケースがあります。
また、飛行機の扉が閉まる前に喘息の発作が起きると、飛行機から降りなければならないケースもあります(安全を配慮してるんだろうけど、厳しい…)。
海外へ行くときは航空会社の注意事項をよく確認し、体調をしっかりとコントロールして行きましょうね!
医療用酸素ボンベ
下記条件を満たし、手続きをすれば機内持ち込み可能(一部の便を除く)
- 容器証明済みマークがあること
- O2の表示があること(医療用のガス状酸素であること)
- 耐用証明検査(有効期限)を受けている印字があること
- 「診断書」「酸素ボンベ仕様確認書」を提示する
基本的に飛行機へのボンベ類の持ち込みは制限対象となっていますが、医療用酸素ボンベは上記の規格を満たすことで座席に持ち込み可能です。
※ 酸素ボンベのサイズ:高さ70cm x 直径10cm程度以内、重量は一本あたり5kg以下(キャリーバッグ含む)
ただし、機体の種類などによりボンベを持ち込めない場合もあります。
予約後、必ず航空会社に以下の件と併せて連絡して下さいね。
まずは、下記をチェック!
どこを見れば良いかは、ANA公式サイト🔗が分かりやすかったので、ぜひご覧ください。
医師の診断書、酸素ボンベ仕様確認書も必要(海外旅行の場合は英語で)なので用意してください。
※ 航空会社指定の書式を求められることが多いです。
これらの書類は搭乗当日に持参しても間に合わないことはないのですが、事前にメールやFAXで航空会社に提出しておくと、当日スムーズに搭乗できます。
機内では、酸素ボンベは座席の下など所定の位置に固定するのが一般的ですが、収まらない場合は座席を購入して設置することになります。
そのためにも事前にボンベの仕様を連絡しておくのがおすすめです。
長めのチューブも用意しておきましょう。
ちなみに、事前に提出していても、当日の確認作業などがあるため、空港カウンターに立ち寄る必要があります。
国内線で1時間前、国際線だと2時間前など指定されるので、遅れないように向かいましょう。
また、使用する本人が吸入の操作ができない場合、付き添い者が必要になるので座席を確保してくださいね。
なお、アメリカ発着便(ハワイやグアムを含む)には医療用といえども酸素ボンべを持ち込めません。
機内持ち込み手荷物・預け入れ手荷物とも禁止です。
ANAでは中国各地発の便も禁止になっています。
そのため、これらの便に乗る場合は、航空会社などが用意するレンタル品を使うしかありません。
例として、ANAの場合、国内線は1区間3,000円(本数制限なし)、国際線は1本(360ℓ)10,000円です。
規格など詳細は航空会社に直接確認してくださいね。
こういったボンベの貸出は事前申込制で、出発の96時間前などと期限があります。
併せて、日本の空港まで使っていたボンベの引き取り手と、現地で使うボンベを忘れずに手配して下さいね。
一方、「携帯用酸素濃縮器(POC)」を機内で利用する場合も、ほぼ同様の書類の提示が必要です。
仕様書はPOC専用のものが用意されていることがあるので、間違えないようにしてくださいね。
また、車椅子も使う場合は、別途手続きが必要です。
別項をご覧くださいね。
インスリンポンプ・持続糖濃度測定装置(CGMS)
機内持ち込み&使用OK(機内モードに切り替えるなどの対応必要)。
ただし、メーカー、製品名などを事前に連絡する。
インスリンポンプ・持続糖濃度測定装置(CGMS)の中にはバッテリーが内蔵されていたり、電波を発したりする機種があります。
このため飛行機の予約をしたら航空会社へ連絡することが必要です。
機器のメーカー名、製品名、型番名は事前に申告し、併せて医師の診断書が必要か聞いておきましょう。
保安検査では、申し出ればX線以外での検査に変更してもらえますよ。
そして当日、離発着時は機内アナウンスに従って電波を発しない状態(機内モード)に設定してくださいね。
なお、薬品を保冷する必要がある場合は自己管理となります。
保冷剤・保冷バッグを持参しましょう。
国際線の場合、保冷材は液体とみなされ規制対象となってしまうので、薬品の保冷用だとわかる外装の保冷剤を使うか、薬品を保冷しなければならない旨が明記された医療機関の証明書(英語)を用意しておくのがおすすめです。
併せて、英語表記の処方箋コピーや糖尿病患者用IDカードも持参すると安心ですよ。
ただし、海外の空港では基準が異なることもあるので、事前に各国大使館などへ持ち込み方法を確認しておきましょう。
オストメイトの場合
事前連絡は不要。
保安検査時は申し出た方が良い。
オストメイトであることを事前に申告する必要はありません。
医師の診断書も不要ですが、保安検査をスムーズに通過するために、ストーマ装具を装着していることを提示できると万全です。
ただし、機内でハサミが必要な場合は注意しましょう。
刃が6㎝を超える物は医療用であっても持ち込めないからです。
先端が丸く、刃の長さが6㎝以下なら持ち込めますが、切り込みを入れておくなど準備しておくと良いでしょう。
ウェットティッシュは制限なしで持ち込めるので、手荷物に入れておくといいですね。
なお、身体障害者手帳を提示すると、トイレ近くの席を確保してもらえることが多いです。
予約時に相談してみましょう。
盲導犬・聴導犬・介助犬
最後に、モノではなく大切なパートナー❝補助犬❞を同伴する場合について紹介します。
盲導犬・聴導犬・介助犬は障害者と一緒に飛行機に乗ることができます。
空港・機内ともリードやハーネスを付け、搭乗後は床に伏せさせていてくださいね。
同伴が認められる補助犬は上記の3種類のみ。
セラピー犬などは補助犬であっても同伴できません(ペットとして貨物室預かり)。
補助犬は基本的に無料で同伴できますが、座席下で伏せたときに通路や隣の席にはみ出すような大型犬、座席を1つ購入することになるので注意して下さい。
小型犬種の場合はケージに入れる対応が一般的ですが、航空会社(特に海外)の持ち込み手荷物の範囲を超えないようサイズに注意しましょう。
また、多くの航空会社において、搭乗手続き時に厚生労働省令で定める補助犬であることの確認が必要です。
そのため、通常時より早い指定時間までに空港カウンターへ行かなければならないことが多いです。
「身体障害者補助犬認定証・使用者」を持参し、胴着に「身体障害者補助犬表示」が付いていれば大丈夫。
ときには、補助犬として適切であるかの質問をされる場合もあります。
これらに問題があると介助犬として認めてもらえずペット扱いとなり、貨物室に預けることになるので気を付けてくださいね。
なお、補助犬であっても海外に行く場合は検疫が必要です。
初めに❝動物検疫所❞に連絡し、必要な書類を取り寄せます。
補助犬にはマイクロチップ装着、狂犬病予防接種と抗体検査、場合によっては犬用の予防接種などが必要に。
その後、申請書や届出書などを出発地・到着地の検疫所に送付・認証などの手続きもあります。
このため、ざっくりですが検疫関連の手続き・準備に3か月はかかると思います。
渡航先が決まったら、渡航先の条件や法律、航空会社の規定に従って手続きし、同伴できるように準備してくださいね。
ちなみに、日本の航空会社やコードシェア便だと国内線に近いサポートが受けられるので安心かも。
海外旅行のときは検討してみてくださいね。