東京タワーのお膝元、オフィス街に忽然と現れる都会のオアシス「芝公園」。
ビジネスマンだけでなく、子供連れやカップル、観光客の憩いの場となっています。
でも、実は「芝公園」は2つあるって知っていますか?
そのどちらも観光、散歩、レジャーなど、目的に応じて幅広い年代で楽しめるスポットになっているんです。
今回は、子供のころから家族で幾度となく遊びに行っている管理人Uniが、祖父母・子供と3世代で楽しめる「芝公園の必見スポット」をご紹介します。
リピーターならではの裏道も歴史散策もご案内!
大都会で思わぬ発見もできちゃう「芝公園」、ぜひ立ち寄ってみてください!
基本情報
「芝公園」は地名にもなっており、住所でいうと、東京都 港区 芝公園1~4丁目 にあたります。
でも、芝公園には「東京都立」と「港区立」の2つがあるんです。
もともと、この辺り一帯は芝・増上寺の敷地でしたが、時を経て、現在は公園・寺社それぞれに管轄が異なっています。
その広大な敷地を分割し、
- 都内最古の歴史を持つ「都立芝公園」
- 都市型でイベントにも利用される「区立芝公園」
- 四大東照宮のひとつ「芝東照宮」
- 当初の土地所有者で、徳川将軍家の菩提寺「増上寺」
として今もなお親しまれているんですね。
日比谷通りに面して並んでいるこの4つのスポット。
1つずつ独立しているものの、実はすべて繋がっているんです!!
今回はその裏道も併せてご案内していきます!
詳細は各項をご覧ください。
アクセスと料金
芝公園へ行くなら、断然電車が便利!
上記4か所のどこに行くかにもよりますが、最短の場合、
- 都営三田線「芝公園駅」出口の目の前
- 都営三田線「御成門駅」出口より徒歩2分
- 都営大江戸線・都営浅草線の「大門駅」より徒歩5分
- 都営大江戸線「赤羽橋駅」より徒歩2分
- JR山手線・JR京浜東北線・東京モノレール「浜松町駅」より徒歩12分
でアクセスできます。
さすが都心の公園だけあって、最寄り駅の多いこと。
都営バスの「芝園橋」や、港区コミュニティバス❝ちぃバス❞の「芝公園」または「港区役所」などのバス停も利用できますよ。
ちなみに大門駅や浜松町駅を利用すると、途中にある増上寺の旧・総門「大門」を通れます。
車道に跨る大きな門は、高さ5.25m!
フォトスポットとしても人気です。
そして、芝公園・芝東照宮・増上寺はすべて無料!嬉しいポイントですね。
※増上寺の展示室・特別拝観などは有料です。
都立芝公園の見どころ
明治6年の公園制定により、もともとは徳川家の菩提寺である増上寺の敷地だったエリアを開放することで生まれたのが「都立芝公園」。
法令上、増上寺を除くこととなりましたが、東京タワーの足元の緑地部分が芝公園になっています。
親水公園のように小さな川が流れ、桜をはじめとする大木に覆われた園内では、野鳥を見かけることもしばしば。
管理人Uniはゴイサギやコゲラ、ユリカモメを目撃したことがあります(^-^)
それもそのはず。
都会のど真ん中ですが、近くには日比谷公園・芝離宮・浜離宮・皇居と緑地が多く、東京湾もすぐそばというエリアなんです。
野鳥に会いたい人は早朝がおすすめですよ!
登れる古墳がある!
「なぜ都心のビジネス街に広大な緑地が残されているのか」という疑問を持つ人もいるかと思いますが、実は芝公園の中には5世紀頃の造成と見られる❝古墳❞があるんです。
その名も「芝丸山古墳」といい、なんと東京都内最大級の古墳(地図上部中央あたり)!
1898年の調査で古墳と確認されました。
歴史の教科書に必ず登場する❝大仙古墳(仁徳天皇陵)❞と同じ前方後円墳なのですが、江戸時代には後円部が削られていたとのこと。
墳墓としての詳細はわからないそうですが、武蔵の地に栄えた豪族の墓と考えられています。
(出典:東京都文化財情報データベース)
古墳には画像の階段を上って古墳の頂上へ行くこともできます。
頂上は平地になっており、石碑も置かれています。
なんの石碑かと言いますと…
精巧な日本地図を自らの足で測量して作り上げた「伊能忠敬 測地遺功表」の石碑なんです。
なぜ芝公園に…と思いましたが、測量の起点となった高輪が近いことから芝公園に設置されたとのこと。
ぜひ墳頂まで上り、隠居後の17年間を注いだ日本地図があしらわれた「遺功表」をご覧ください!
東京タワーと増上寺も高台から眺められますし、春には桜も迎えてくれますよ。
また、中腹部には小さな神社があり、円山随身稲荷大明神が祀られています。
木がうっそうと茂っているので、夏場は虫除けスプレー必須です!!
2月が見ごろの梅林 ❝銀世界❞
芝公園の入口を入ってすぐ、古墳の階段の手前には❝梅屋敷銀世界❞と名付けられた梅林があります。
例年2月には満開の梅の花が見られ、公園の一角は白梅に包まれて、まさに銀世界と呼ぶにふさわしい景色に。
この「梅屋敷銀世界」、もともとは現・西新宿3丁目にあった梅林ですが、明治時代に敷地が東京ガス㈱の所有となったため、梅林は芝公園の西側へと移植されました。
しかし、1966年の首都高速芝公園ランプの建設に伴い、園内の現在の場所へ再び移されることになったのです。
人間の都合で転地を余儀なくされた銀世界の梅たち。
ですが、凛と枝を伸ばし、春の訪れを報せる可憐な花々は、かの歌川広重も『絵本江戸土産』に収めたほどの美しさを、今も変わらず見せてくれます。
この『絵本江戸土産』の中で、広重(2代目と言われています)は、
四谷新町に梅園あり。
歌川広重『絵本江戸土産 十』
如月の比盛りにいたれば只ひと面に白銀の花の咲るが如くなれハ世俗銀世界とハ言ふ。
と説明しています。
絵に描かれた石碑(琉球使節 棟応昌の筆)も芝公園に安置され、当時の面影を伝えていますよ。
名所として広重ら江戸の人々も認めていた「銀世界」。
彼らが愛でたのと同じ梅を、見に行ってみませんか?
裏道を通って芝東照宮へ
さて、銀世界の裏手には階段があり、芝東照宮へ抜けられるようになっています。
10段ちょっとの階段ですが、上ると銀世界を見下ろすことができ、芝公園の向こうにある高層ビルも望めるので、フォトスポットにもなっています。
厳密にいうと、芝東照宮は都立芝公園の敷地ではありませんが、あの徳川家康公を御祭神とし、還暦を迎えた自身の像が御神体として祀られています。
…といっても、隣接する増上寺が❝徳川家の菩提寺❞としてあまりにも有名なため、知らない人が多いかもしれません。
でも、芝東照宮は日光東照宮・上野東照宮・久能山東照宮と並び、四大東照宮に数えられている由緒正しき神社です。
当初は増上寺の境内に❝安国殿❞としてあったのですが、明治時代に入ってからの神仏分離の布告により、現在の形となりました。
近年はパワースポットとしての人気も高いんですよ。
こじんまりとした東照宮ですが、境内には三代将軍 家光公が植樹したと言われる大イチョウがあります。
1641年と伝えられているので、樹齢はおよそ380年。
戦火も逃れた見事な大木は、高さ約21m・幹の周囲は約6m以上!
東京都指定天然記念物です。
家光公お手植えの大イチョウと東京タワー。
時空がねじれたようなワンショットが撮れるスポットです。
区立芝公園の見どころ
都立芝公園から芝東照宮を横切るように進む今回ご紹介のルート。
大イチョウの前を通ると「港区立芝公園」へ行くことができます。
第二次世界大戦後、政教分離政策のために増上寺と切り離され、敷地の外周部分は都立芝公園に、この一角は様々ないきさつを経て、現在は港区立芝公園となっています。
古墳をはじめ、木が鬱蒼と茂る都立芝公園とは趣が異なり、区立芝公園は整備された都市型の公園です。
ドラマのロケに利用されることも多く、かなりの頻度でロケやってますw
区立芝公園エリアのスポット
園内は広い芝生エリアと滑り台付きの遊具といった公園としての機能と、平和や環境について学べるスポットが含まれます。
日比谷通りに面した芝生広場は、家族でピクニックするのに最適なスポット。
クリスマスマーケットや港区民祭りなどイベントにも使われます。
遊具は前述の1つだけですが、水飲み場(お茶が利用できることも)とトイレが完備されているので、乳幼児を遊ばせるのに最適(我が子は中学生になっても遊んでましたが)。
また、素通りしてしまいがちなのが、「環境学習施設」と「平和の灯」といった、学びと実践の設備やモニュメント。
子供だけでなく大人も見ておきたいスポットです。
❝環境学習施設❞として紹介したいのは、芝生広場の隅にある昔ながらの手押しポンプ式井戸。
ここの地下には雨水を300tも貯められる貯水施設があり、それを汲み上げられるんです。
ほかにも風力と太陽光を両方利用したハイブリッド照明もあり、実際の発電量がわかるようになっているんです。
また、芝公園は環境への配慮と同時に港区民を守る災害施設になっており、ベンチはかまどに、マンホールはトイレになるように工夫されているんです。
そして、公園の入口には「平和の灯」が静かに燃えています。
この火は港区の平和都市宣言20周年を記念し、広島・長崎・福岡の各都市に灯されている3つの火を合わせて設置されたもの。
核兵器の廃絶と平和を願って燃え続ける小さな灯火が、私たちにもできることがあると教えてくれるように感じます。
プリンス芝公園
さて、芝生広場の奥の更に高いところにも芝生エリアがあります。
ここは隣接するホテル ❝ザ・プリンス パークタワー東京❞ の庭園「プリンス芝公園」。
階段や坂道を上るのが大変な人は、この画像の奥にエレベーターがあるので、利用してくださいね。
この高台の芝生エリアには柵があり、中に立ち入ることはできません。
でも、バラの花を中心に手入れされた花壇があり、四季折々の美しい花が出迎えてくれる散策コースになっています。
ほら、東京タワーもこんな近くに!
タワーの足も見られる絶景スポットなんですよ。
ホテルの公園といえども自由に出入りできる素敵な場所です。
ぜひぜひ上のプリンス芝公園まで足を運んでくださいね!
そして、このまま増上寺へ移動しちゃいましょう!
増上寺へ
プリンス芝公園の奥からは、増上寺の裏手へ通じる道があります。
裏道から入ると、このような標識と、お寺を感じさせる通路があるんです。
なんと、都立芝公園⇒芝東照宮⇒港区立芝公園⇒増上寺…と、表の日比谷通りに戻ることなく隣へ隣へと移動することができるんですよ。
日比谷通り側の正面はこちら。
境内は広く、参拝しに来ても大殿の裏まで周る人は少ないので、ぜひ裏手もご覧ください。
大本山 増上寺 (zojoji.or.jp) 公式サイト
今回はプリンス芝公園から裏手に通じる❝裏道ルート❞でご案内します(^-^)
裏手から入ってまず気になるのが、こちらの「大納骨堂(舎利殿)」。
高村光雲氏の作品を基にした地蔵尊がご本尊です。
この辺りからは東京タワーが見上げるほどの近さに見えますよ。
また、奥には「徳川将軍家墓所」があります。
菩提寺だけあって、
- 歴代6将軍
二代秀忠公・六代家宣公・七代家継公・九代家重公・十二代家慶公・十四代家茂公 - 将軍正室・側室10名
崇源院(二代秀忠公夫人)、和宮親子内親王(十四代家茂公夫人)、桂昌院(三代家光公側室) - 歴代将軍の子女
綱重公(三代家光公第三子)ほか
と、そうそうたる方々がお揃いです。
ちなみに、崇源院は三代家光公の母で、織田信長の妹・お市の方と浅井長政の娘である❝お江の方❞のこと。
豊臣秀吉の側室・淀殿(茶々)は崇源院のお姉さんです。
また、桂昌院は身分が低い(一説には八百屋の娘とも)ながらも家光公の目に留まり、五代綱吉公の母となった人。
天下の悪法(現在では評価される面もありますが)として名高い「生類憐みの令」に関わったとされています。
さらに和宮親子内親王は、幕末の動乱を収める政策「公武合体」の象徴として、16歳で皇室から武家へ嫁いできた人物。
夫・十四代家茂の早世、歴史の荒波に翻弄されながらも、大政奉還・江戸城無血開城や徳川家の存続に尽力しました。
崇源院はNHK大河ドラマ『お江~姫たちの戦国』、桂昌院はフジテレビ『大奥』シリーズ、和宮内親王は有吉佐和子の小説『和宮様御留』や大河ドラマの幕末作品などに登場しているので、ご存知の方も多いのでは?
墓所の入口には、立派な「鋳抜門(いぬきもん)」があります。
左右に5個ずつの葵の紋と、昇り龍・下り龍が鋳抜かれています。
かつては6代将軍家宣公の霊廟にあった中門を移築したもので、青銅製のため戦火を免れたとのこと。
歴史の表舞台の陰にある、数奇な運命に思いを巡らせるスポットです。
さて、徳川家の菩提寺として有名な増上寺ですが、1175年に法然上人が開いた浄土宗の大本山、正式には「三縁山広度院増上寺」ということをご存知ですか?
開山は江戸幕府が開かれるもっと前。
前身の寺ができたのは9世紀と言われていますが、現在の名称「増上寺」となったのは1393年(室町時代)です。
京都・奈良には及ばなくても、東京で600年の歴史を感じられるスポットがあったんですね!
敷地内の本堂などの建造物は多くが戦火で失われ、その後、建て直されたものですが、地下にある常設の宝物展示室には英国王室に保管されていた「徳川家霊廟模型」などが展示され、当時を窺い知ることができますよ。
浄土宗が生まれた1175年から数えて850年目にあたる2024年に向けて、大改修が行われ、世界最大規模のチタン製屋根瓦葺き替えとなりました。
さすが増上寺、スケールが違いますね。
もう一つ増上寺内のスポットとして忘れてはならないのが、大殿の隣にある「安国殿」。
家康公が成し遂げた❝天下泰平❞の願いを継承するものとして、法然上人八百年御忌を記念し建てられました。
ここには線香の煙で黒くなったと言われる阿弥陀如来像❝黒本尊❞が祀られています。
黒本尊は家康公が深く信仰し、そのご加護によって災難を乗り越え、幾多の戦勝を収めたことから、❝勝運❞と❝厄除け❞の仏様として今も多くの人々が訪れています。
ここで授かれる勝運の御守りは、黒本尊にあやかって黒!
かっこいいですよね!
また、安国殿で御朱印も頂けます。
我が子の御朱印帳は増上寺のもの。
徳川家の象徴・葵の御紋も入っています。
東京で手軽にできる観光スポットとしてもぴったりの増上寺。
歴史を身近に感じるひとときが過ごせますよ。
おわりに
JRでも地下鉄でも、アクセスが楽な芝公園一帯は日帰り遊びのスポットにぴったり。
伊能忠敬・徳川将軍家・歌川広重など、歴史の教科書に登場する人物ゆかりの地です。
それだけでなく、小高い古墳や広い芝生など変化に富み、散策や遊具・ボール遊びなど多目的にレジャーを楽しめるのも魅力。
また、今回ご紹介したように全て奥で繋がっているので、その都度、日比谷通りまで戻らずに、ショートカットする方法もあります。
東京タワー観光や都心へ出たついでに、芝公園で一休みするのもいいですね。
都心で感じる歴史と自然、ぜひぜひ週末は芝公園でのんびり過ごしてみてください!