人気の観光地が集まったヨーロッパは人気の旅行先。
それだけに複数の国を巡る❝ヨーロッパ周遊旅行❞を計画する人も多いですね。
そんな海外旅行と切り離せないのがビザ。
特にヨーロッパに関しては「シェンゲン協定」に加盟しているかどうかも重要に。
そこで、ここではヨーロッパ諸国へ入国する際のビザの要・不要とシェンゲン協定、注意点などをまとめてご紹介していきます。
ヨーロッパ旅行に行く前に、ぜひチェックしてください!
※ 内容は執筆時のものです。最新情報は各公式サイトなどでご確認ください。
日本人はビザ不要…でも!
結論からいうと、次の条件をすべて満たす場合、シェンゲンビザなしで旅行できます。
(❝シェンゲンビザ❞については次項で解説しますね。)
つまり、日本のパスポートを持っていれば、ほとんどのヨーロッパ旅行にはビザ取得の手間なく気軽に行けるというわけ。
(ビザ免除の国についても次項で触れますね。)
また、入国の回数も問われません。
180日間の間に10回渡欧しても、合計日数が90日ならOK!
ただし、所持するパスポートは10年以内に発行されたもので、シェンゲン圏の出国予定日より有効期間が3か月以上残っているなどの要件もあります。
なお、一部の国(スイス、アイルランドなど)は90日を超える滞在でもビザは不要ですが、別の申請書が必要になるケースもあります。
でも!
ヨーロッパでは2025年を目途に「欧州渡航情報認証制度(ETIAS:エティアス)」の運用開始が予定されています。
これが始まると、シェンゲンビザは従来通り不要なのですが、渡航するための電子申請が予め必要に。
また、ETIAS導入前は滞在日数の制限が緩かった国も、導入後は一律最大90日までとなる見込みです。
ETIASについては申請方法を含め別記事にて詳しく解説予定ですが、運用開始が大幅にずれ込んでいます。
しばらくお待ちください。
Please wait for a while…
シェンゲン協定とは:対象国と非対象国
ヨーロッパの国々は❝シェンゲン協定❞という協定を結び、現在、ほとんどの国が加盟しています。
私たちには❝EU(欧州連合/ヨーロッパ連合)❞の方が馴染みがありますが、これは別物。
EUが経済的な繋がりであるのに対し、シェンゲン協定は国境を自由に超えられる❝シェンゲン圏❞を構築するためのもの。
シェンゲン協定を結んだ国同士は❝シェンゲン圏❞という1つの国のようなエリアとなり、国境がないかのように人の移動が可能です。
そのため、ヨーロッパ周遊などで複数の国を巡っても、シェンゲン協定に加盟している国間の移動であれば、入国審査はありません。
しかし、最初にシェンゲン圏に入るときは入国審査が必要です。
このとき、前述の条件を満たしていなければシェンゲンビザ、または滞在国のビザが必要となるわけです(後述)。
シェンゲン圏の国(協定加盟国)
前述の通り短期滞在を目的とした日本人は、シェンゲン圏にビザなしで入国・出国・乗り継ぎができます。
しかし、ヨーロッパのすべての国がシェンゲン協定を結んでいるわけではありません。
ビザ不要で行けるシェンゲン圏の国は、EU28か国のうち23か国と、EFTA(欧州自由貿易連合)の4か国。
さらに、シェンゲン協定を結んでいないものの、国境がシェンゲン加盟国と接しているために実質シェンゲン圏となっている国もあります(バチカンやサンマリノなど)。
下記は、前述の条件を満たしていればシェンゲンビザなしで入国可能です。
【シェンゲンビザ不要(実質シェンゲン圏内含む)】
※ 2023年1月1日クロアチア加盟
- オーストリア
- ベルギー
- クロアチア
- チェコ共和国
- デンマーク
- エストニア
- フィンランド
- フランス
- ドイツ
- ギリシャ
- ハンガリー
- イタリア
- ラトビア
- リトアニア
- ルクセンブルグ
- マルタ
- オランダ
- ポーランド
- ポルトガル
- スペイン
- スロバキア
- スロベニア
- スウェーデン
- アイスランド
- リヒテンシュタイン
- ノルウェー
- スイス
- サンマリノ共和国
- モナコ
- バチカン市国
日本人が訪れる国の多くがシェンゲン圏であることがわかりますね。
この協定のおかげで、ヨーロッパ周遊などでも非常にスムーズに国境を超えることができます。
ただ、注意したいのが、これらの国々はあくまでも短期滞在のためのシェンゲンビザが不要というだけ。
国境を超えるとき、税関の審査は通常通り行われる場合もあります。
人の往来は自由でも物品の持ち込みが厳しいというのは、違法薬物やテロ対策といった側面もあるからです。
シェンゲン圏内であっても、税関や検疫には注意してくださいね。
シェンゲン圏以外の国(協定非加盟国)
一方、EU加盟国であるものの、ブルガリア、キプロス、アイルランド、ルーマニアは現時点でシェンゲン圏に含まれていません。
また、EUを脱退しているイギリスも、シェンゲン圏ではありません。
ですが、シェンゲンケン圏外の国の多くが日本と査証免除取極(ビザ免除措置)を締結しているため、観光・商用などの短期滞在ならビザ不要で入国できます。
【ビザ不要(シェンゲン圏外:査証免除取極締結のため)】
《EUやEUに近い国》
- イギリス
- ブルガリア(加盟申請中)
- キプロス(加盟予定)
- アイルランド
- ルーマニア(加盟申請中)
《西欧》
- アルバニア
- アンドラ公国
- グリーンランド
- ジブラルタル(英国)
《東欧》
- アルメニア
- ウクライナ
- ウズベキスタン
- カザフスタン
- キルギス
- ジョージア
- セルビア
- タジキスタン
- ベラルーシ(空路のみ)
- ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
- マケドニア
- モルドバ
- モンテネグロ
ただし、ビザが不要になる条件は、国ごとに異なります。
例えば…
- パスポートの有効期間の残存日数
- パスポートの余白ページ数
- 帰国用の航空券や費用の所持
などを入国審査時に確認されることがあります。
審査時に不備があると入国拒否となり、日本に引き返さなければなりません。
また、問題なく審査を通過しても、入国後に滞在登録をしなければならない国もあります。
シェンゲン圏であれば入国の条件は共通ですが、シェンゲン圏外はそれぞれの国が定める条件になってしまうので、個別に確認する必要性が生じてしまうわけです。
ビザ不要だからと安心せず、渡航先ごとの要件を早めに確認しておくことをおすすめします。
ビザが必要となる場合
では、どのような場合にビザが必要になるのでしょうか?
シェンゲン圏の場合、前述のビザ免除の条件を1つでも満たせない場合はビザを申請することになります。
具体例をあげるなら、日本国籍を持っている人がシェンゲン圏に入る場合でも、
などはビザが必要です。
また、ワーキングホリデーの場合は、
- ビザが必要なケース(ドイツなど)
- ビザなしで入国後、現地の移民局で滞在許可を申請するケース(ハンガリーなど)
など、ビザの有無や年齢などの要件、手続き方法などは国によって様々です。
しかし、ここで共通の問題になるのが❝必要なビザは何なのか❞という点。
間違いやすいのですが、取得すべきなのはシェンゲンビザではないのです。
シェンゲンビザとはシェンゲン圏の短期滞在用ビザ。
日本人は前述の条件を満たしていれば、短期滞在はビザ不要でしたね。
つまり、シェンゲンビザは、シェンゲン圏とビザ免除措置の協定を結んでいない出身国の人にとって必要なビザなのです。
では、シェンゲン圏と協定でビザ免除が認められている日本人でも、ビザ免除に該当しない滞在をする場合、例えば…
- 180日あたり90日を超える留学や観光をする人
- 就労を目的に行く人
はどうすれば良いのでしょう?
結論から言うと、滞在国の目的に合ったビザを取得するのが正解です。
これはシェンゲン圏だけでなく、圏外のイギリスなども同様。
労働するなら就労用のビザが必要ですし、ワーホリ用のビザが用意されている国もあります。
このように、気をつけたいのはビザが必要となる条件や種類は国ごとに異なっているという点。
例えば、留学を例に挙げてみると、
- イギリス
滞在期間が6ヵ月までで、帰国用の費用や航空券、滞在中の資金の証明書、入学許可証などがあればビザ不要。
6ヵ月以上で最長11ヵ月の留学には短期学生ビザ(Short-term study visa)、11ヵ月を超える留学には学生ビザ(Student visa)が必要。
日本国内からも申請できる。 - スイス
90日を超える留学をする場合、スイスでの受け入れ先を通じて居住予定を管轄する移民局などへ滞在許可発行確約書(又は入国許可発行確約書)を直接申請してもらう。確約書を取得後、それを持ってスイスへ入国し、定められた日数内に滞在許可の取得手続きを行う。
※ 駐日スイス大使館では確約書やビザの申請はできない。
…のように、国によって大きな違いがあるのです。
ビザ不要の条件や、入国審査に必要な書類、必要な場合のビザ申請方法などは、各国大使館の公式サイトなどを通じて調べるのがおすすめです。
なお、ビザ発給の条件は事前通告なしで変更されることも多いです。
大使館のほか、その国の認可を受けたビザ発給センターなど、信頼できる筋からの情報を入手するようにしましょう。
ヨーロッパで短期滞在でもビザが必要な国はどこ?
前述のように西側諸国はもちろん、東ヨーロッパの国々でも短期滞在ならビザなしで旅行できる国がほとんどです。
しかし、下記の国は短期の旅行であっても、入国時にビザが必要です。
【ビザが必要なヨーロッパの国】
アゼルバイジャン、トルクメニスタン、ロシア
得に、トルクメニスタンの場合、在日大使館でビザ申請をするには、入国管理局からの招聘状を所持していないとなりません。
ビザは申請してから取得まで時間がかかることもあります。
万が一を考えて、余裕をもって申請するのがおすすめです。
申請に必要な書類などは大使館の公式サイトなどで十分に確認し、不備のないように注意しましょう。
問い合わせ先
シェンゲン圏に関するビザ免除の条件や、日本国籍以外でシェンゲンビザが必要な人への情報は、こちらのETIAS公式サイトに記載されています(現在、運用開始前です)。
また、シェンゲン圏以外の国に関しては、各国駐日大使館の公式サイトで確認するのが一番確実です。
前述の通り、ビザ免除や発給の条件が変更されることも少なくないので、国ごとの確認が大切です。
シェンゲン圏内外に関わらず、90日を超える長期滞在は目的によりビザの種類が複雑なので、分からなければその国の大使館に問い合わせることをおすすめします。
大使館の電話番号や住所は、外務省公式サイトに掲載されています。
駐日外国公館リスト 目次|外務省 (mofa.go.jp)
また、各国にある日本大使館の公式サイトの一覧は下記の通りです。
すでに海外にいる場合などにご活用ください。