海外旅行の必需品といえば「パスポート」と「ビザ」。
でも、近年ではビザなしで渡航できる代わりに、「電子渡航認証(電子渡航承認)」が必要な国が増えています。
オンラインで簡単に申請できる便利なシステムですが、実はちょっとした事前準備や予備知識も必要。
そこで、ここでは電子渡航認証を採用している国を取り上げ、システムの特徴や手続き前に知っておきたい情報を詳しく紹介しています。
申請用の公式ウェブサイトや、公式マニュアルへのリンクも掲載!
旅行の計画を立てたら、必要な国をぜひチェックしてください!
電子渡航認証/電子渡航承認って?
世界最強の信用度を誇る、日本のパスポート。
これにより日本国民は多くの国でビザが免除になったり、簡易な手続きだけで渡航できたりします。
その一つが「電子渡航認証」や「電子渡航承認」などと呼ばれる入国の承認システム。
渡航者のパスポート情報などを電子的に管理し、審査の上、渡航前に入国を許可するものです。
渡航者の増大や近年多発するテロなどの脅威、難民などの流入の管理を目的に整備されました。
日本を含め、所定の国のパスポートを持つ人がこのシステムの国に渡航する場合は、一般的なビザが免除される代わりに、事前に電子渡航認証を受けることが義務付けられています。
電子渡航認証のメリットや従来のビザとの違いは、主に次の点です。
一番のメリットは、大使館や領事館の受付時間に縛られず、自分の都合の良いときに申請できることでしょう。
インターネット環境は必要ですが、スマホがあればできる手軽さも◎!
また、電子渡航認証の手続きにより、ある程度の審査が済んだ状態でイミグレーション(入国審査)へ向かうことになるので、通常のビザよりも短時間で入国手続きが終了することが多いです。
一方、その国に滞在しなくても、乗り継ぎなどで経由する際に必要なことが多いので、注意が必要です。
なお、「電子渡航認証」の呼び方は国によって異なります。
採用している国と名称をリストにしておきますね。
- アメリカ:ESTA(Electronic System for Travel Authorization)
- ヨーロッパ(ほぼ全域):ETIAS(European Travel Information and Authorization System)
2023年11月導入の予定でしたが、2025年に見送られました。 - オーストラリア:ETA(Electronic Travel Authority)
- カナダ:eTA(Electronic Travel Authorization)
- ニュージーランド:NZeTA(New Zealand Electronic Travel Authority)
- スリランカ:ETA(Electronic Travel Authority)
- 韓国:K-ETA(Korea Electronic Travel Authorization)
2024年末まで特例措置実施
なお、旅行代理店のツアーを利用する場合でも、電子渡航認証の申請は個人で行うのが一般的。
スマホアプリで行う国も増えています。
どうしても難しい場合は代行申請を請け負う業者・旅行代理店などもあるので、割高になることもありますが、依頼するのも1つの方法です。
偽サイトに注意!!
アメリカをはじめ各国のESTA申請サイトには、本物と間違いかねない見た目の❝代行業者サイト❞があります。
中には悪質な業者もあり、不当な手数料を上乗せして請求されることもあるので油断できません…。
※ 代行と書いていない所も多数あるので注意!!
参考:
ESTA、eTAなどの電子渡航認証の申請代行サイトで高額請求された!(消費者トラブル解説集)_国民生活センター (kokusen.go.jp)
必ず各国の大使館や信頼できるリンクから手続きを始めるようにしてくださいね。
アプリがある場合は公式アプリを利用した方が安心です。
この記事でも公式サイトのリンクを掲載していますので、慎重に進めてくださいね。
それでは国・地域ごとに詳しく見ていきましょう。
アメリカ:ESTA(エスタ)
ESTA申請フォーム (アメリカ国土安全保障省 公式サイト)
※右上の言語タブで日本語に切り替えられます。
90日以内の観光や商用ならばビザなしで渡航できるアメリカですが、現在はESTAが必須。
アメリカ行きの航空機や船に乗る際には、経由するだけでも事前に承認を受けることが義務付けられています。
【 ESTAの対象者および特徴 】
【 注意点 】
- オンラインでのみ申請手続き可能
- メールアドレスが必要
- アメリカに滞在しない場合(アメリカを経由して他国に行くなど)にも承認が必要。
- 申請費用は、クレジットカード(MasterCard、VISA、American Express、DiscoverCard(JCB含む))またはオンライン決済サービス「PayPal」でのみ支払い可能。
また、有効期間は2年間ですが、申請時のパスポートの有効期限が切れた場合や、申請内容に変更が生じた場合はその時点で無効となるので、改めて申請しなおすことが必要です。
なお、申請内容に誤りがあった場合は上記リンクから英語で問い合わせを行い、修正が必要なことを伝えましょう。
詳しくは外務省ウェブサイトをご覧ください。
ヨーロッパ:ETIAS(エティアス)
ヨーロッパの国々のうち、シェンゲン協定を結ぶ26か国へ入国する際に必要なのが「ETIAS(欧州渡航情報認証制度)」。
2021年からの予定でしたが、2025年の導入予定となっています。
ETIASが導入されるまでは「シェンゲンビザ」が有効。
日本人のビザ免除の条件については、こちらの記事をご覧ください。
ETIASが導入されると、日本を含め54か国のパスポートを持つ人はビザは免除されますが、ETIASの申請が必要です。
【 ETIASが必要な国 】
アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、
ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、
チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、
フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、
リトアニア、ルクセンブルク、リヒテンシュタイン、クロアチア(2023年1月加盟)
ETIAS申請の手続きはオンライン上で簡単にでき、渡航が認められれば、自動的にシェンゲンビザが免除されます。
一般的な電子渡航申請と異なり、ETIASのみで上記の国々に何度でも渡航できるのが大きなメリットと言えるでしょう。
義務化は2021年から(の予定でしたがw)ですが、上記のETIAS公式ウェブサイトに基づき、情報をまとめてみました。
【 ETIASの対象者および特徴 】
【 注意点 】
- オンライン申請のみ
- メールアドレスが必要
- 最初に入国する国を決めておく
- 空路・海路・陸路を問わず搭乗・移動前に認可が必要。
- 手数料の支払い方法はクレジットカードのみ
- 有効なシェンゲンビザを持っている人は、有効期限をすぎたらETIASに切り替える
オンラインで申請すると、審査の結果がメールで届きます。
申請が拒否された場合は、メールに理由が書かれているので、不服がある場合は申し出ましょう。
重要なのは、ETIASの承認がないとヨーロッパ行きの飛行機・船舶に乗れないという点です。
また、代行業者など第三者による申請も可能ですが、割高になることがあります。
なお、イギリス、アイルランド、ブルガリア、キプロス、ルーマニアの国々はシェンゲン協定に加盟していないので、ETIASではなくその国の定める手続きが必要となりますので注意してください。
オーストラリア:ETA/ETAS(電子入国許可:サブクラス601)
すべての入国者にビザが必要となるオーストラリア。
ただし、日本国籍を持つ人は、3か月以内の観光や商用が目的の場合ビザが免除され、代わりにETAで入国許可を受けること義務付けられています。
【 ETAの対象者および特徴 】
【 注意点 】
- スマホによるオンライン申請のみ(大使館・領事館で窓口・郵送での受付不可)
- メールアドレスが必要
- 手数料の支払い方法
Google Pay、ApplePay(スマホの機種による)
クレジットカード(VISA、MasterCard、AmericanExpress、DinersClub、JCB) - 申請時に発行される「参照番号」を記録しておくか、申請後に送られてくるメールを保存しておくこと(発給の確認をする際に番号が必要)
- 結核を患っていないこと
- 刑期の合計が12か月を超える有罪判決を受けていないこと
- 調査・契約交渉・会議などを除くビジネスは不可
ETAにより入国が許可されれば、発給の通知を持参する必要などはありません。
なお、発給不可、あるいは問い合わせをする旨の連絡が入ることもあります。
このような場合は、大使館などへ連絡を取り、発給不可や遅延の理由を聞き、適切な対応をとるようにしましょう。
また、自分で手続きが難しい場合は旅行代理店などの代行業者に依頼することも可能です。
現在はスマホアプリで申請するため、代行業者が行う場合でもスマホでの扱いとなります。
ETA詳細については下記公式サイトもご参照ください。
オーストラリア政府ETA 公式ウェブサイトへ
在日オーストラリア大使館 公式ウェブサイトへ
オーストラリア政府観光局へ
カナダ:eTA
eTA申請フォーム(カナダ政府公式サイト)
日本語対応版
カナダ政府も2016年より電子渡航認証システムを採用しています。
6カ月以内の滞在者はビザが免除されますが、渡航前にeTAでの認証を受ける必要があります。
カナダのeTAは有効期間が長いので、余裕をもって申請しても安心です。
なお、手続きは数分で完了する簡単なものですが、申請作業には時間制限があります。
申請に必要なパスポート、クレジットカードなどの電子決済、渡航日が決まっている場合はそれがわかるもの(航空券など)を用意してから、手続きを始めましょう。
また、申請サイトは日本語対応となっていますが、「申請サポート(日本語版PDF)」を見るのもおすすめです。
流れが非常に丁寧に書かれているので、スムーズに申請できますよ。
【 eTAの対象者および特徴 】
- カナダに空路で入国する6か月以内の滞在者
- 5年間有効(ただし、登録したパスポートの有効期限内)
- 1回の渡航につき最大6カ月滞在可能
- 通常は数分以内に承認(メールにて)
- 手数料7カナダドル
【 注意点 】
- オンライン申請のみ(大使館・領事館で窓口・郵送での受付不可)
- メールアドレスが必要
- 手数料の支払い方法はクレジットカード(VISA、MasterCard、AmericanExpress、JCBなど)またはデビットカード(VISA、MasterCard)、プリペイドカード(VISA、MasterCard、AmericanExpress)
- 申請の時間制限あり(数分の延長可能)
- 申請時に記入した内容は保存できない
- 領収書の後日の印刷はできない(必要ならその場で印刷しておく)
- 犯罪歴、結核・梅毒・アルコール依存症などの既往歴があると承認されない場合あり
なお、eTAは代理人による申請も可能です。
申請後、数分で承認メールが届きますが、審査に時間がかかることもあります。
承認メールが届かない場合は、申請直後に届く確認メールに記載の「申請番号」と「パスポート番号」で審査状況を調べられるので、やってみましょう。
なお、車やバス、船など空路以外でカナダに入国する場合はeTAは不要です。
eTAの詳細は上記公式サイトをご覧ください。
ニュージーランド:NZeTA
2019年より電子認証を採用しているニュージーランド。
このNZeTAの導入により、日本国籍を持つ人はビザの発給が免除されました。
【 eTAの対象者および特徴 】
【 注意点 】
- オンライン申請のみ(大使館・領事館で窓口・郵送での受付不可)
- メールアドレス、写真データが必要
- 申請時にIVL(観光税)NZD$35の支払い義務あり(乗り換え旅行者は免除)
- 支払方法はクレジットカードまたはデビットカード(Visa、Mastercard のみ)
- オークランド国際空港で乗り継ぐ場合も必要
NZeTAは代理申請も可能ですが、自分で行うならアプリで取得するのがおすすめ!
申請時にパスポートをスキャンしたり、その場で自分の写真を撮影できるので、写真データを用意する手間やアップロードする手間が省けます。
また、手数料が安い点もポイント!
iPhone版・android版ともアプリストアからダウンロード(無料)して利用しましょう(上記サイト内にリンクあり)。
また、パソコンでの手続きは「NZeTA申請説明書日本語ガイド(PDF)」で解説されてるので、あらかじめ内容を確認しておくとよいでしょう。
なお、支払いに利用できるクレジットカードは現時点でVisa、Mastercard のみなので、作っておくようにしましょう。
スリランカ:ETA
ETA申請フォーム(スリランカ政府公式サイト)
※ 駐日スリランカ大使館公式サイトを経由(必要なものが記載されています)
2012年より電子旅行認可(ETA)が採用されているスリランカ。
時期によっては日本人のETAの手数料を免除し、実質ビザ無料の好待遇で入国できることもあります。
【 ETAの対象者および特徴 】
【 注意 】
- オンラインのほか、大使館や入国時の空港でも申請可能。
ただし、入国時の取得は、追加でUS$5が必要 - メールアドレスが必要
- 支払方法はクレジットカード(VISA、MasterCard、AmericanExpress)のみ
- ETA承諾書のコピーを持参するのがおすすめ
- 乗り継ぎでもETAが必要
アメリカやニュージーランドなどと比べると、ETAの有効期限が非常に短いので、注意が必要です。
一度出国してしまうと再入国は1回しかできないので、周遊して再びスリランカへ入国する旅程の場合などは、ETAの取得時期と入国回数を考慮するようにしましょう。
また、代理人による取得も認められています。
旅行代理店に申し込むほか、代行業者や日本語サイトを開設している業者もありますので、割高になりますが依頼するのもよいでしょう。
なお、ETAの申請が認められなかった場合、メールにて照会通知が送られてきます。
これは入国審査が何らかの理由により一時中断されていることを示します。
審査を継続するには、メールに記載の番号を控えるか承諾書をプリントアウトし、大使館へ連絡をとりましょう。
ETA申請に関しては非常にわかりやすい
スリランカ民主社会主義共和国出入国管理局(ETA) 公式ウェブサイト
があります。
日本語を選択できるので、そちらを見てから手続きを始めるのがおすすめ!
承諾書や照会通知のサンプルも掲載されています。
また、スリランカ大使館の公式ウェブサイトでもETAに関して触れていますので、参考にしてください。
韓国:K-ETA
2021年に運用が開始された韓国の電子渡航認証システム。
韓国旅行でも必須となりましたが、現在「Visit Korea Year 2023-2024」が行われているため、2024年12月31日まで日本人はK-ETAが免除になっています。
その代わり、入国カードへの記入が必要なので注意してくださいね^_^
K-ETAの内容は多くの国と同じで、有効期限も長く、渡航回数に制限はありません。
韓国リピーターには嬉しいシステムですね^_^
【 K-ETAの対象者および特徴 】
【 注意点 】
- オンラインもしくはモバイルアプリでの申請
- メールアドレス、写真データ(アプリは不要)が必要
- 支払方法はクレジットカード
K-ETAの申請方法はこちらの記事で詳しくお伝えしています。(記事作成中)
韓国には入国時の検疫手続きを事前に済ませられる「Q-CODE」もあります。
K-ETAと異なり必須ではないので、現地で記入しても大丈夫。
ですが、空港をサクサクと通過したい人は利用がおすすめです。
おわりに
大使館や領事館が発給する従来のビザと異なり、パスポート情報を電子化して管理する電子渡航認証。
といったメリットがあります。
その反面、
などの不便さを感じる人もいることでしょう。
しかし、電子渡航認証システムの導入により、現地での入国審査がスムーズになることは確実です。
認証済みでなければ飛行機などに乗れない場合もあるので、注意しましょう。
なお、最終的な入国許可は現地の入国管理官が行います。
電子渡航認証を受けていても、理由があれば入国を拒否されることがあります。
また、各国の電子渡航認証システムは頻繁に更新されています。
必ず公式ウェブサイトをご確認のうえ、手続きを進めてくださいね。
なお、日本帰国時の手続きは事前登録できるサービス「Visit Japan Web」が超便利!
詳しくは上記リンク記事をご覧ください!