夏休みが近づくと「自由研究のテーマは何にしよう?」と悩む人も多いはず。
そこで、小・中学校の教科書に精通した当サイト管理人・Uniが、自由研究のアイデアをご紹介!
しかも、お出かけスポットの定番・水族館を活用したものを厳選してご案内します。
中学生にふさわしい知識量と難易度別で実験テーマと手順を紹介!
無理なく宿題を進められるアドバイスも満載です。
身近な道具だけで実験するので、すぐに始められますよ!
中学校で学ぶ内容とは
中学校の理科は物理・化学を扱う「第一分野」と生物・地学を扱う「第二分野」に分けられており、生物では次の内容を学びます。
【 中学校 】
※文部科学省 学習指導要領(理科編)より
- 色々な生物の共通点(特徴・分類)
- 生物の体の作りと働き(植・動物の細胞や組織レベル、刺激・反応、生命維持)
- 生命の連続性(成長と繁殖、遺伝、多様性、進化)
- 生物と環境(食物連鎖、環境保全、外来生物)
実は、小学校で基本は学んでいるといっても過言ではないのが、現在の中学理科の教科書内容。
ただし、内容は同じでも、中学校では現象や事象をより科学的に捉えていきます。
小学校での知識への肉付けと、❝なぜ成り立つのか❞という原理や解明方法を学ぶわけです。
例えば ❝食物連鎖❞ は小学校で習います。
でも、植物が光合成によりデンプンを作り(生産者)、それを草食動物が食べ、それを肉食動物が食べ(消費者)、これらの排泄物や死骸を微生物が分解し(分解者)、生産者の栄養源に…という循環を学ぶのは中学校です。
小学校で❝光合成❞の詳細には触れないし、植物が水を吸い上げる管の存在は学んでも、道管や師管、維管束という言葉や、双子葉類・単子葉類で形状が異なることは習わないのです。
そこで中学生の自由研究では、小学生のテーマを深掘りしたり、ハイレベルな実験でアプローチしたりするのが取り組みやすいのではないでしょうか。
特に、光や音などを盛り込むと、中学生らしい実験に!
…というのも、小学校では光や音の特性(進み方・伝わり方)しか習っていません。
深く学ぼうとすると❝波長❞を理解しなければならず、難しくなってしまうからです(地震の単元も同様)。
中学校の科学では波長をかじりつつ学ぶので、これを取り入れると一挙にレベルアップした内容にできるというわけ(^-^)
本記事では上記を踏まえ、中学生が取り組みやすく、手早く終わらせられるテーマを中心にアイデアをご紹介していきます。
やりたいところだけ抜粋したり、自分なりのアイディアをプラスしてもOK!
ぜひ活用してください!
なお、手間を掛けたくない人には、難易度別❝ほったらかし実験❞もおすすめです。
そのほかの自由研究アイデア集は以下リンクをご覧ください!
小学生編や短時間系もありますよ↓↓↓
自由研究アイデア集 | 世界で1つのワガママ旅へ (uni-voyage.com)
【観察&実験】魚の解剖とその応用
魚の食物連鎖について、小学校【 高学年編 】にて「魚の胃の中を調べよう」というテーマを紹介しました。
それを発展させたのが、こちらのテーマ。
メスや解剖バサミがなくても、キッチンばさみがあれば魚の解剖は簡単!
解剖の手順は上記記事で紹介しているので、半身を剥がすところまでご覧くださいね。
さて、内臓が見えたら、少しずつ引き出してみましょう。
すると、口から食道・胃・腸・肛門と繋がっていることが確認できます。
これが食べ物の通り道。
改めて見ると、これらの器官の内壁(胃や腸の内側の壁)は、体内にありながら外界と繋がっていることがわかります。
実はこれ、生物の発生(受精卵から個体に成長する過程)で見られる❝陥入(原腸陥入)❞という現象によるもの。
元々は受精卵(=胚)の表面にあった細胞が体の内側へと窪んで管状の組織を作り、最終的には口と肛門、そして、その間が胃や腸といった消化管となるのです。(ざっくり書いています^_^;)
つまり、胃や腸の内壁は、もとは胚の外側(表面)にあった細胞から発生したもの。
外界から内部を守る、皮膚のような役割にあった細胞です。
消化管の内壁は、体内にありながらも、外界から内部組織を守り続けているわけです。
生命の不思議が垣間見られますね。
…ついつい書いてしまいましたが、陥入や胚発生については高校で生物を選択すると学ぶ内容。
(体細胞分裂は中学校の範囲です。)
ちょっと難しいですが、1つの細胞が分裂を繰り返し個体へと発生していく過程は、まさに神秘です。
興味があったら、発展学習として調べてみてください!
再び解剖の話に戻りますね。
取り出した臓器をそれぞれ詳しく見ていきましょう。心臓・肝臓・ウキブクロは判別しやすいと思います。
臓器の観察が終わったら、煮て身を取り外し、骨を観察してもいいですね。
時間があれば頭蓋骨を少しずつ削り、脳を観察するのもおすすめ!
キッチンペーパーで挟んで頭部を持ち、キッチンバサミで頭骨を削っていきましょう。
手を切らないよう、軍手をすると安全です。
魚の脳は、よく見る(?)人間の脳とは形がだいぶ違います。
脳も進化の過程で特徴的に変化しており、魚の脳は原始的。
本能的な行動を司る❝脳幹❞の占める割合が大きいという特徴があります。
さらに慎重に削っていくと、脳から太い神経が伸びているのがわかります。
眼球へ向かう視神経は交差しており(視神経交差)、鼻へと向かうのは嗅神経。
この神経の太さゆえ、魚は発達した視力と嗅覚を備えていると考えられています。
一方、背骨方向には脊髄が確認できることでしょう。
脳は大脳や中脳などに分かれており、その発達は魚の生態と深く関係しています。
人間(哺乳類)や爬虫類・鳥類・両生類の脳と比べ、それぞれの脳の特性と生態を比較して考察するのもおすすめ。
ちなみに、鳥類の脳を見てみたい人、簡単な材料があります。
それは、ドッグフード用の ❝鶏頭水煮❞。
ニワトリの頭部だけ(!)の水煮が売られています。
煮てあるので、魚と同様に頭蓋骨を削っていけば簡単に脳を取り出せますよ。
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同様に、他の部位を比較するのもおもしろいです。
例えば、心臓。魚の心臓は1心房1心室ですが、人はどうでしょうか?
心臓も生物の進化を辿っており、魚類・爬虫類・哺乳類と異なる形状をしています。
臓器1つをみても、進化の偉大さを実感できることでしょう。
また、魚の目の解剖をするのもおすすめ(生の状態で実施)。
アジなどの小魚でもいいですが、マグロやタイなどのカマを売っていたらチャンスです!
魚類以外では眼球の大きいイカも解剖向き。
眼球に切り込みを入れると、中から透明な❝水晶体❞がコロンと出てきます。
これを新聞など小さな文字の上に乗せると、レンズのように拡大できることがわかります。
人間の目も同じ仕組みなので興味深いですね。
煮干しの水晶体は白く濁っていますが、コロコロしてわかりやすいので、子供に大人気(?)のパーツです。
なぜか持ち帰りたがるほど気に入る子も多いんですよ^_^;
また、頭蓋骨の後方にある❝耳石❞を探すのも面白いです。
年齢もわかるし標本にもできるので、宿題に拍が付くかも。
耳石や年齢当ての詳細は、小学校中学年の記事(コチラ)をご覧ください。
さて、脳や眼球はちょっと…という人は、変わった形の魚(カレイ、サンマなど)や別の生物群(イカ、ハマグリなど)を解剖してみてはどうでしょう?
例えば多くの魚はウキブクロを持っていますが、軟体動物のイカにはありません。
逆にイカの墨袋は魚にはないですね。
また、胃はすべての魚にあるわけではありません。
コイやキンギョ、アユ、サンマ、イワシなどは❝無胃魚❞と呼ばれ、胃を持っていないのです。
アユやサンマは内臓ごと食べてもおいしいですが、これは胃がないために消化が早く、かつ消化液の苦みが少ないからなんですね。
そのほか、平べったいカレイのような魚の内臓はどのように配置されているのでしょう?
海底を棲むカレイにも、ウキブクロはあるのでしょうか?
通常体形の魚と比べ、その違いを生態から考察すると、まとまりのある研究になりますよ。
そうそう、写真はいっぱい撮ってくださいね!
画像に書き込むのも、振り返った時にわかりやすいですよ!
水族館というよりは、博物館がらみのネタになってしまいました(;^_^A
進化のつながり(系統樹)は上野の国立科学博物館(地球館1F)がわかりやすいです。
魚類の進化については同地下2Fにあるので、ぜひご覧ください!
もちろん標本類も豊富なので、別の視点から考えたいという人にもおすすめ。
一方、骨の展示のイチオシは、日本大学 生物資源科学部の『骨の博物館』。
人気(?)の透明標本もあります。
日大の学生だけでなく、一般の人も入れます。
なんと入館料は無料!
2024年現在、予約不要で入場できます。
また、博物館内部の動画が公開されているので、雰囲気だけでも味わってはいかが?
《 自由研究の進め方・ポイント 》
- 基本の解剖には、アジなど入手しやすく手頃なサイズの魚がおすすめ。
(ゼイゴやヒレが硬いので注意)
消化管や魚に特徴的な臓器などの位置や形状を観察、写真を撮る。 - 余裕があれば、別の形状の魚(カレイなど)や他の生物(イカやハマグリ)も解剖し、比較・考察する。
- 臓器は水で洗うと浸透圧で変質するので、キッチンペーパーでふき取るのがおすすめ。
※洗う時は3%食塩水で。
《 発展学習 》
- 消化管が一本に繋がっている意味や成り立ち(胚の発生/原腸陥入)などについて言及してみる。
- 耳石を取り出して調べてみる。
- 脳や眼球を解剖し、調べてみる。
- 魚類と両生・爬虫・鳥・ホニュウ類の臓器の違いと進化を調べてみる。
心臓や脳がおすすめ。
【実験】水草の光合成実験
こちらは中学校の理科の教科書や資料集にも掲載されている、有名な光合成の確認実験。
ただし、専門的な装置を使わず手軽に、かつ科学的に実験をするのが本項のポイントです。
光合成は中学2年生で習いますが、教科書がなくても資料集(3年間使用)は持っていると思うので、概要を知りたい人は見てくださいね。
実験の目的は、光合成によって何が起こるのか調べる、光合成が活発になる条件を探すなど、いろいろあります。
基本の実験をベースと組み合わせると研究らしくなりますよ。
①基本の光合成実験(発生する気体の量と確認)
光合成により生成される気体が何か、光合成には何が必要なのか、調べてみましょう。
用意する道具や実験方法は他の実験でも用います。
組み合わせる実験の計画を立てておくと、1~2日で終わりますよ(^-^)
【用意するもの】
- 500mlペットボトル:3本以上
炭酸飲料用の凹凸のないボトルがおすすめ。
実験には同じ形状のものを使う。 - 水草
オオカナダモ(アナカリス)が超々おすすめ(安価で入手しやすく、葉の幅が広い)。
キンギョモ(マツモ)でもOK。 - たらい(バケツでも可。ペットボトルが複数本入るサイズ)
- アルミ箔
- 線香とライター(またはマッチ)
【実験方法】
- 水草を同じ長さ(10~15cm以上)に切っておく。
- ペットボトルに静かに水道水を入れ、ボトルを揺らして水草や壁面についた気泡を除き、再び静かに水をいれて満杯にする(蛇口から直接入れない方が気泡が入りにくいのでおすすめ)。
必要な数(今回は3本)用意する。 - 次のようにボトルをセッティングする。
A:何も入れずに蓋をする(対照実験用)。
B:①の水草を入れ、水を盛り上がるまで入れて、蓋をする。
C:①の水草を入れ、水を盛り上がるまで入れて、蓋をし、全体をアルミ箔で覆う(光が当たらない状態)。
(光合成による気体だけを集めたいので、気泡はできるだけ取り除くこと。) - 3本すべてをたらいに入れ、日当たりの良いところに置き、ボトルの2/3くらいまで水を張る(ボトル内の水温上昇を防ぐため。時々取り換えよう)。
※ 太陽が動いても日陰にならない所に置く。 - 5時間後、アルミを剥がして、ボトルにたまった気体の量を比較する。→結果①
何センチ分などの計測と写真での気体の量の記録(下記本文参照)を行う。
BとCは水草の状態(気泡の付着の有無)にも着目。 - 火のついた線香(前述の画像の状態)をボトルの口に持って行き、蓋を外して貯まった気体に近づける。
→結果②
ボッと燃え上がるものがあるので注意!
もし発生した気体の量を具体的に知りたければ、❝水上置換法❞で測定できますよ。
透明の筒状のカップ1つとペットボトルが斜めに沈む程度のバケツ(実験で使ったたらいでOK)を用意しましょう。
実験後のペットボトルを蓋をしたままバケツに沈めます。
そして透明のカップも水に沈め、中の空気をすべて出したら、逆さま(伏せた)状態でペットボトルの口まで持って行きます。
そして蓋を外し、ペットボトルから浮き上がる気体を逆さまのカップで受け止めます。
残った気体は、ペットボトルを潰して押し出しましょう。
カップは逆さまのまま水面より持ち上げても、カップの口が水面より上に出さなければ大丈夫。
気体と水の境界線が見えるところまで水平に持ち上げたら、長さを測ります。
円筒形や直方体のようにストンとしたカップだと、底面積×長さ(高さ)で体積が計算できます。
いわゆるプリン型(円錐台)のカップの場合は、円錐の体積を求める方法の応用で計算するか、ざっくり上の方法で求めてしまうのも一法です。
具体的な数値の方が考察しやすいのでおすすめですよ。
また、蓋をしたままのペットボトルだと気体が圧縮されている可能性もあり、見た目と生成量に差が生じている場合もあります。
厳密に実験するなら、水上置換法で気体を採取するのが確実!!
採取し終わったら、カップの口に平らな板を密着させてから上下を戻し、板を押し付けたまま水中から取り出します(6年生のとき、集気びんの実験でやってるよね?)。
線香の火を近づけるときは、板をゆっくりずらせばOKですよ。
②光合成により生成されたもの(気体以外)
前項の実験の手順⑥を行ったあとの水草を使って行います。
連続して行うのがおすすめ。
実験の理論は小学校6年生で実施する❝たたき染め❞と同じですが、家庭で簡単にやれる方法に変更してあります。
【用意するもの】
- うがい薬(イソジンなどヨウ素を含むもの。規定量に薄めておく)
- コーヒーフィルター(白。切り開いておく)
- 金づち
- 塩素系漂白剤(キッチンハイターなどを10%程度に薄めておく)
- ジップロック(コーヒーフィルターが入るサイズ)
- バット(皿でも可。良く洗っておく。)
【実験方法】
- BおよびCの水草の水分をそっと拭き取り、それぞれコーヒーフィルターに挟んで平らなところに置く。
どちらかわかるようにボールペンでBかCか書いておく。 - 上から金づちで軽くたたく。
フィルターを開いてみて、葉の形が緑色に写し取れていればOK。 - ジップロックに②を入れ(B・C両方)、浸るぐらいに10%漂白剤を入れて密閉する。
- ボウルなどに50℃程度の湯(水でも何とかなる)を入れ、③を湯煎して時々軽く揺らす。
- 数分後、緑色が薄くなったらコーヒーフィルターを破けないように取り出し、ボウルの湯に漬けて静かにゆすぐ。
その後、1~2回水(常温でOK)を取り替えてゆすぐ。 - ⑤のフィルターをバットに入れ、規定量に薄めたうがい薬をかける。
青紫に変わるとデンプンが含まれている証でしたね(覚えてる??)。
③光合成を活発にする条件探し(光の強さ)
太陽光でなくても光合成ができるのか、光の種類や強さ(照度)の違いによる変化を調べます。
光を科学的に捉えることで、中学生らしい考察まで発展させられる実験です。
用意する光源について調べ、その特性と光合成の結果を結びつけるようにしましょう。
なお、明るさを数値で表す場合には、照度計が必要です。
スマホやタブレット用の無料アプリが複数あるので、いくつか試して使いやすいものを選んでください。
あくまでも簡易的に明るさの強弱を見られればOKなので、正確性に欠けるアプリでも同じアプリを使い続ければOKとしましょう。
【用意するもの】
- 光源(蛍光灯、LED、白熱電球など数種類)
- 段ボールなどの暗所
- 照度測定アプリ(あると便利)
「照度計 無料」と検索し、使いやすいアプリをスマホにインストールして使ってください。
個人的には『QUAPIX Lite(AppStore/GooglePlay)』がおすすめ(写真を撮って測定するタイプ)です。
【実験方法】
- 照度測定アプリがあれば、実験に使う光源の照度を測っておく。
- 光源の数だけ基本の実験装置(ボトル・水草)を用意する。
- 他の光が入らないよう暗所に置き、光源をボトルに当てる(大きめの段ボールの中で実験するのがおすすめ)。
※ 実験中、光はあてっぱなし。 - 5時間後、発生した気体の量を比較し、照度や光源の特性を踏まえて考察する。
④光合成を活発にする条件探し(色)
光は3原色(赤、緑、青)とそれらの中間色から成り、虹のような7色に分けられます。
そして、それぞれの色の波長は特定の範囲にあります。
一方、植物の細胞には❝葉緑体❞という細胞小器官があり、中にある色素❝クロロフィル❞が特定の波長の光を吸収することで光合成をしています。
そこで、どの波長の光が光合成を促進するのか、確かめてみましょう。
波長は色と対応しているので、光の色を変えれば良いわけですね。
光源は太陽光よりも強めの照明の方が結果がわかりやすいと思います。
水草入りのペットボトルに1色ずつセロハンを巻き(輪ゴムやセロテープで固定)、基本の実験と同様に行ってください。
セロハンは3原色の赤、緑、青は用意したいもの。
対照実験としてセロハンを巻かないボトルも作っておきましょう。
最後に、実験結果から光合成を行いやすい色を特定し、その色の波長と、クロロフィルが吸収する波長を調べて考察してみるのがおすすめです。
ちなみに、緑色の葉にはクロロフィルが多く含まれていますが、わかめや昆布などの褐藻や、イチョウやモミジなどの紅葉した葉には別の色素が含まれています。
併せて調べると、発展的な内容にできると思いますよ。
⑤光合成を活発にする条件探し(二酸化炭素の影響)
光合成に光が必要であること、二酸化炭素が関係していることは、実は小学校6年生で実験しています(小松菜などの葉物野菜と気体検知管を使用)。
これを中学生らしくアレンジして実験してみませんか?
呼気を吹き込んだ二酸化炭素たっぷりの水と通常の水に水草を入れて実験してみましょう。
そうそう、二酸化炭素の有無は石灰水で判定できるんでしたね。
※ 石灰水は目に入らないように注意!!
用意しておくと、おもしろい結果が得られるかもしれませんよ。
下記②Dを一度作ってみて、サンプルとして取る水の量と、それに混ぜる石灰水の目安量を確認しておくのがおすすめです。
【用意するもの】
- ストロー
- 消石灰(あるとおもしろい。海苔の乾燥材として入っている消石灰を数日間放置しておく)
【実験方法】
- (使う場合は)石灰水を作る。
予め数日間放置しておいた消石灰を、水の入ったペットボトルに少しずつ入れる(一気に入れると発熱するので注意)。
生石灰しか入手できなかった場合は、数日室内に放置し、完全に消石灰にしてから使う(生石灰をすぐに水に入れるのは危険なので絶対にしない)。
良く攪拌したのち静置し、上澄みの透明な部分を使う(短期間ならペットボトルで保管可能)。
急ぐ場合は、良く攪拌したのち、コーヒーフィルターでろ過する。
※ 目に入らないように注意! - 基本の実験のようにペットボトルを用意し、
B:基本の実験参照
D:ストローを奥まで挿し、ペットボトルの水に呼気を3回ほど静かに吹き込んでから少量採取し、石灰水を少し混ぜて白く濁ることを確認(濁らなければ呼気を追加)。再び水で満たし蓋をする(水草は不要)。
E:Dと同様に呼気を吹き込み、水草を入れてから蓋をする。 - 基本の実験同様、5時間日光に当てる。
- 発生した気体の量を比べる。
- B、D、Eの水を取り、少量の石灰水を混ぜて白濁の様子を調べる。
DよりもEの方が濁りにくければ、光合成で二酸化炭素が消費されたことの証明ができる。
この実験は、吹き込む呼気中の二酸化炭素量と石灰水の濃度が適当でないと結果がわかりにくいかもしれません。
心配なら長めに光合成をさせ、二酸化炭素を大量に消費してしまえば、石灰水が濁りにくくなるので結果も一目瞭然!
実験の開始時間を早めたり、2日間行ったりして、挑戦してみてください!
水族館へ
最後に水族館の登場です。
最近の水族館では、現地の再現をした水槽で魚を展示する方法が主流。
特に淡水魚は水中だけでなく陸地も再現され、アマゾン水系の展示だとジャングルやマングローブの森が再現されたりしています。
レイアウトだけで実際の光合成による酸素を水中に放出しているわけではありませんが、地球上の木々が作り出した酸素は水面から水中に溶け込んでいくのです。
もちろん水草たちも光合成を行い、二酸化炭素を吸収し、酸素を供給しています。
最近注目されているアマモの役割なども考察してみると良いでしょう。
実際に見たい人は「しながわ水族館」の❝東京湾の干潟と荒磯❞コーナーへどうぞ!
水産庁の資料も参考になりますよ。
さらに、ビオトープを作っている水族館もあります。
ビオトープは人工的な生態系であって、作るには魚(動物)だけでなく水草類(植物、植物プランクトン)と光の3者は絶対に必要な要素です。
これらのバランスが完全に取れていれば、日光と水草などの光合成による酸素供給、魚の排出する排泄物と二酸化炭素、無数の微生物の間で物質が循環します。
つまり、エサやりも、エアレーションも、水交換もせずに、何年も維持できるのです。
我が家のメダカとドジョウ、ウィローモス(コケ)のビオトープは、蒸発した水の継ぎ足しだけで2年間維持!
完全なグリーンウォーターですがw
全てがリサイクルされる小さな世界。
水中にきらめく酸素の気泡を見つけると、嬉しくなります。
観賞用の水槽とは違い、たまにしか見えない彼らの逞しい姿に惚れ惚れ(^-^)
ベランダでも可能なので、興味のある人はビオトープを作ってみてください!
いや、自由研究の話に戻ります(;^_^A
考察やまとめとして、環境における植物の役割、カーボンニュートラルや地球温暖化対策などを調べてみましょう。
世界が取り組むべき問題を意識する、良い機会です。
これらを含めると、自由研究から得た知見を実生活に結び付けることができ、素晴らしい研究内容になると思います!
《 自由研究の進め方・ポイント 》
- 水草は先端側(生長点側)の元気な部位を使う。
- 石灰水は目に入らないように注意。
手に着いた場合は大量の水で洗い流す。 - ヨウ素を入れる容器にデンプンが残っていると反応するので、よく洗っておく。
葉を挟む紙にコピー用紙を使うと、製紙用の糊(=デンプン)が反応するので不適。
《 発展学習 》
- 光の波長と色の関係、植物が吸収する光のスペクトルなどを調べてみる。
- 光合成の化学反応式:
6CO2 +12H2O+光エネルギー → C6H12O6 +6H2O+6O2
二酸化炭素・水・光を使って、ブドウ糖・水・酸素を生じる。
カルビン回路、明反応・暗反応などを調べてもよい。
注意!!
実験に使った水草は育てるか、ゴミとして処分しましょう。
決して川や池などに捨てないでください!
特に、オオカナダモは河川で見かけることもありますが、外来種です。
また、店舗で別の生物の種子や卵が付着していないとは限りません。
日本の固有種を守るため、責任を持って管理するようお願いします。
【 おすすめ記事 】
学年別の自由研究一覧はこちらをどうぞ↓↓↓
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