理科の自由研究【放置編:身近な宝石❝結晶❞を作ろう】小学生・中学生に最適のアイデア集!簡単・手間なし実験でも完成度を上げる方法とコツ

結晶作りは自由研究の定番中の定番。
「放っておいてもできる実験」なので人気もあります。
でも、放置系の実験を❝自由研究❞の域にまで持って行くのは意外と大変。
「これだけじゃ足りないかも」「上手にまとまらない」など、実験してみたものの収集がつかなくなるのは在りがちなケースです。
テーマがかぶりやすいので、人と差別化することも必要になってきますね。
そこで、小学校・中学校の教科書に精通した当サイト管理人 Uni が、前回好評だった自由研究ネタを新たにご紹介!!
今回は「仕掛けるだけ」で誰でも簡単に結晶を作れる実験と、そのレベルアップ編を同時に公開!
小学校低学年から中学生まで、同じテーマでも自分に合った難易度で取り組めますよ。
難しい自由研究に取り組んで、親も子どもも大変なことになった経験をお持ちのご家族、必見です♪
目次
ほったらかしの実験に取り組むにあたって
「ほったらかし実験」を自由研究❝らしく❞成立させるのに、一番重要なのは実験前です。
これはどんな実験でも言えることですが、特に「ほったらかし」の場合はしっかりと❝予想を立てること❞!
これが自由研究の明暗を分けます。
予想の立て方にも良し悪しがあって、
- ○○になると思う。
というのは、NGです。
良い予想とは、
- △△を見たことがあるから(知っているから/習ったから)○○になると思う。
…のように、自分の知見や経験に裏打ちされる根拠の上に立てられた仮説です。
そして本来の実験とは、その仮説を立証するための手段に過ぎないのです。
自由研究がまとまらずに失敗する人は、この❝仮説を実験で確かめる❞という骨組みが抜け落ちているケースが多々見られます。
逆に言うと、この骨組みさえ成立していれば、実験が失敗に終わっても自由研究としては成功するものです。
ですから、すぐに実験に着手するのではなく、「何を確かめたいのか」「どうしてその手順で実験するのか」といった点を意識し、結果を根拠と共に予想することが第一歩です。
今回紹介する実験は低学年から高学年、中学生まで何歳でもそれなりにできる内容です。
材料も身近で入手できるものばかり。
ですが、この実験へのアプローチは小学校1年生・2年生・3年生くらいだと自力では難しい部分。
ぜひ保護者の方が「なぜそう思ったのかな?」と考えを深める問いかけをしてあげてください。
その問いが、子どもの持つ❝考える力❞を育むきっかけになるはずです。
今回、実験手順を細かく紹介しています。
読み終えたら一度立ち止まって、お子さんと一緒に「なぜこの手順・方法なのか」を考えてみてください。
それが❝予想❞や❝考察❞への第一歩です。
なお、今回も実験ごとに関連した内容を何年生で習うのか、文部科学省の学習指導要領に基づき紹介していきます。
学習指導要領を見れば、その学年での標準的な知識力・理解力の目安がわかるからです。
ただ、同じ学年でも使用している教科書や先生によって学ぶ時期に違いがあります。
自由研究を夏休みに行うのであれば、対象学年でもまだ習っていない可能性があるわけです。
もし確実に習ったことに基づいて実験したいのであれば、学習する学年よりも上級生になってから…ということになります。
逆に、学習内容を先取りしたい、夏休みの体験をそれ以降の学習に活かしたい…のであれば、ガンガン実験しちゃうことをおすすめします。
学校での実験は時間に限りがあるので全員が実験に関われるとは限りませんし、理解のスピードもバラバラですからね。
なお、自由研究を簡単にレベルアップできるコツや、当サイトのテーマ選びのポイントはこちらの記事で紹介していますので、併せてご覧ください↓
授業内容との関わりと原理
この写真、なんだと思いますか?


実はキッチンにある材料の結晶…
左の立方体が食塩、右の六角形がミョウバンです。
ただし、このミョウバンはある意味で失敗作…これについては後述しますw
でも、どちらもキレイですよね!本当に宝石みたい♪
これが放置しておくだけで作れるので、私はついつい作っちゃいます(写真の結晶もついw)。
遊び感覚でできる実験ですが、この結晶作りが学校での学び(教科書)とどう関わっているかを押さえておくと、実験の予想をたてるときに役立ちます。
紹介しておきますね。
【 学校で習う内容との関わり 】
- 小学4年生「天気の様子」「水の3つのすがた」
- 小学5年生「ものの溶け方」
- 中学生「水溶液の性質」(溶解度曲線と再結晶)
関連分野として最も近いのは5年生の「ものの溶け方」。
同じ量の水に溶ける量は物質によって異なることを学びます。
さらに、溶けた物質は見えなくても水溶液中に存在していること、どうしたら溶けた物質を取り出せるのか(教科書では蒸発と冷却)を実験で確かめます。
これを理論的に捉えていくのが中学生の「溶解度」と温度の関係、および「飽和溶液」です。
- 溶解度
水(溶媒)100gに対し、ある物質(溶質)が溶ける限界量のこと。
水温が高くなるほど溶解度が高くなる物質は多い(例:ミョウバン)。
溶解度と温度の関係を示したグラフを「溶解度曲線」という。 - 飽和溶液
溶解度まで物質を溶かした溶液のこと。
簡単に言うと、❝溶け残り❞が出た溶液の上澄み部分。
本記事の最後に資料として溶解度を載せておきますね。
他のサイトをご覧になる方法もありますが、溶解度の単位が「水100gあたり○○g」だったり「質量%」だったりするので注意!
でも小学生は理解できなくても大丈夫!
この実験は直感的に理解できる内容です。
上記のような結晶を作る理屈だけなら、1年生でも大丈夫!
なぜなら、濡れた洗濯物が乾いたり、コップの底に残ったジュースや牛乳がカピカピに乾くことを、誰もが経験的に知っているからです。
ちなみに、4年生は「天気の様子」の単元で水たまりの水が蒸発することから❝自然蒸発❞を、「水の3つのすがた」では空気中で水は水蒸気として存在することを学びます。
何となく知っていることを、科学的に観察して確認していくわけですね。
ですから、洗濯物が乾くといった経験をもとに、水溶液を放置したら水分が蒸発し、中にあった(=溶けていた)物質が現われることを納得できれば第一歩はOKです。
以上が学校で扱う範囲。
この現象の原理・理由をもう少しかっこよく、アカデミックに表現すると
- 溶媒蒸発法
溶媒(水溶液の場合は水)が蒸発していくことで溶液の濃度が高まり、温度が変化しなくても溶解度の上限を超えた物質が析出してくる。
によって洗濯物が乾いたり、ジュースからカピカピになった固形物が出てきたりする、ということなります。
そして、もう一つ、結晶作りに欠かせない原理が、
- 温度降下法
温度が下がるほど溶解度が低くなる物質に対して用いる方法。
溶液の温度を下げることで溶解度が低くなり、溶けていられなくなった物質を析出させる。
です。
これは「はちみつ」を置いておくと寒い時期に下の方に塊ができる現象です。
実は、底にできた❝白くジャリジャリしたもの❞は、ブドウ糖などの糖分の結晶なんです。
つまり、「溶媒蒸発法」のように溶液が濃縮されなくても、温度が下がるだけで溶けていられなくなる物質…すなわち溶解度が温度によって大きく異なる物質には「温度降下法」でも結晶を作れることになります。
大きさや形のキレイさは別問題ですが、小学校5年生が水溶液を冷却することによって物質を取り出す方法も「温度降下法」を利用しているわけ。
自由研究を書くときに「蒸発(溶媒蒸発)」「冷却(温度降下)」や「溶解度」「飽和溶液」などを自分の言葉で解説しておくと、予想が立てやすくなりますよ。
基本の実験の準備
まずは実験の準備。
次の物があれば基本の実験ができます。
【基本の実験器具・材料】
- 食塩やミョウバン(本文参照)
水100gに対して、食塩40g・ミョウバン57g(焼きミョウバン25g)程度必要。 - 湯(50~60℃)
水道水で十分だが、透明度の高い結晶を作りたい人は薬局で売られている「精製水」を用意。
やけどに注意。 - 温度計(なくても何とかなる。本文参照)
- 混ぜる棒(箸・スプーン・ストローでもOK)
よく洗ったプラスチック製・金属製またはガラス製のもの。
木製は削れてゴミが入る可能性があるので避ける。 - ピンセットまたは箸(プラスチック製または金属製)
結晶を取り出すときに使用。
混ぜるのに使った箸(木製は不可)があれば兼用OK。 - コップやカップ(透明な方が見やすい)またはビーカー
100均のプラカップがおすすめ。複数個。
いずれも食器用洗剤で洗い、内側をきれいにしておく。 - ラップおよびタオルなどの布類
ラップはホコリよけに被せる。
タオルは上記のカップが包めるサイズのもの。
ミョウバンは化学的には「硫酸カリウムアルミニウム:KAl(SO4)2」といい、水分子が付いている「生ミョウバン」と、付いていない「焼きミョウバン」の2種類があります。
自由研究に物質名や化学式を載せるとハクが付きますね~!
これらのミョウバンは薬品としてだけでなく、消臭や掃除、漬物に入れると色がきれいに仕上がる❝おばあちゃんの知恵❞として食品添加物にもなっています。
どちらでも良いのですが、特徴が異なるので注意してくださいね。
おすすめは、以下の理由で「生ミョウバン」です!
自由研究用のキットも売られていますが、量が少ないのでせっかく実験するなら粉末を買っちゃいましょ!
余ったミョウバンで消臭スプレーを作れば無駄なしです(笑)
【生ミョウバン】
硫酸カリウムアルミニウム12水和物
KAl(SO4)2・12H2O
水に溶けやすいので作業が楽。
薬局・ドラッグストアでも取り扱わないことが多いので、ネットで買うのが早い。
Amazonはこちら↓
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【 焼きミョウバン 】
硫酸カリウムアルミニウム
KAl(SO4)2
生ミョウバンに比べると溶けにくい。
薬局・ドラッグストアで掃除・消臭用として、またスーパーマーケットでもぬか床などと一緒に食品添加物として売られていることが多い。
温度計があるとデータ作りに役立ちますが、結晶を作るだけなら特になくても大丈夫。
保護者の方がお湯に触って「熱い!!」って手を引っ込めるくらいに温まっていれば50~60℃の目安です。
(↑乱暴な方法ですw 肌の弱い方は温度計を使ってください)
はじめは熱く感じても、ずっと手を入れていられるなら40℃台の可能性が高いと思います。
くれぐれも火傷に注意して実施してくださいね(温度を確認したら水で冷やして!)。
実験方法①:基本編
今回は非常にズボラでお手軽な方法を紹介します♪
精度の高い実験をしたい人は補足説明の方法で実践してくださいw
大切なのは写真をたくさん撮っておくこと!
スマホのカメラなら日時の記録も残るので、何日間かかったか調べられます。
一気に終わらせたい人は、食塩とミョウバンを同じ日に溶解させて、同時進行させてもいいですね。
食塩とミョウバンの溶け方の違いや、何回ろ過したかなど、データや気付いたことを写真と共に記録しておきましょう。
食塩で説明していきますが、ミョウバンも同じやり方で実験できますよ。
①
水(または精製水)を60℃くらいまで温める。
加温は、よく洗った耐熱容器に水だけを入れて電子レンジでチンする方法がおすすめ。
コンロを使う場合、鍋は良く洗浄すること。
電気ポットの湯はポット内に付着したカルキ分が混入することがあるので注意。
②
洗ったカップに温めた湯(50~60℃をキープ)を一定量(例:100g)入れる。
③
②に食塩を少しずつ入れ、スプーンなどでかき混ぜながら溶け残りが出るまで入れる。
このとき、何g入れたか量っておくと良い。
④
しばらく放置して、溶け残りが完全に沈殿したら「上澄み(=飽和溶液)」だけを別のカップにとる。
(または、コーヒーフィルターを使ってろ過した「ろ液」を使う。)
⑤
④の「上澄み液」または「ろ液」の入ったカップにふんわりとラップをかける。
ゴミが入らないようにするため。蒸発できるようにサイドは開けておく。
⑥
⑤のカップをタオルで覆い、振動のないところで液温をゆっくりと室温まで下げる。
ラップが密着してしまわないように注意。
⑦
温度が室温まで下がったらタオルを外し、引き続きラップを被せたカップを静置して、時々様子を見る。
⑧
できた結晶の中から形の整ったもの(=種になるもの)を複数選び、取り出す。
新しいカップを用意して「上澄み(またはろ過してろ液)」だけを入れ、取り出した核を間隔を空けて戻し、再び静置する。
⑨
⑧を繰り返し行う。
液が足りなくなってしまったら、その時点で終了にしても良いが、①~④を行い、液を追加しても良い。

(画像はミョウバン)
⑩
ほど良いところで完成(笑)!
きれいで大きめの結晶を習字用の半紙や新聞紙の上などに取り出して、乾燥させよう。
写真を撮るときは濃い色の折り紙などの上に置くと、結晶の美しさが際立つのでおすすめ。

分かりやすくキレイ

さて、ザックリやっても結晶はできますが、うまく作るにはコツがあります。
③で物質を溶解させている間に、湯の温度が下がって来てしまいます。
前述の通り、物質の中には溶ける量が温度によって変化するものがあるので、水温を50~60℃に保つことが必要です。
特にミョウバンは温度が下がるとせっかく溶かしたものが析出してきてしまいます。
前述の「温度降下法」だけでも小さな結晶ができるのですが、大きく育てるには弊害となります。
そのため、時々温度計を入れて水温を確認しましょう。
温度が下がってしまうなら湯煎して50~60℃を保ち、溶け残りが出るまで攪拌しながら追加してください(やけどに注意)。
また、③で使用した食塩量を量るには、
- 使う前と使用後の量を量って、引き算して求める。
- キッチンスケールがない場合は、小さじを使い「すり切り…杯」と数える。
といった方法があります。
さらに注意したいのは、⑥で急激に液温が下がること。
細かい結晶がたくさん生じてしまい、大きな結晶に育てるための❝種(核)❞ができません。
タオルでくるめばゆっくりと温度を降下させられます。
くるみ方を変えるなど工夫してみるのも良いでしょう。
また、⑤などで被せておくラップは必ず隙間を作ってください。
静置している間(⑧や⑨)にカップの中の水分が自然に蒸発していくことで水溶液の濃度が高まっていきます。
濃度の高まりにより溶けきれなくなった食塩が析出することで結晶ができるので、水蒸気の逃げ道をラップでふさがないようにしましょう。
(溶媒蒸発法)
ラップがなくても結晶はできますが、落下した空気中のホコリなどが核になって小さな結晶ばかりできてしまうことがあります。
隙間ができるように被せておくのがベストです。
このようにしてできたのがこちらの結晶。
食塩は横から見ると立方体(正六面体)であることがわかりますね。
写真はこのように角度を変えて撮っておくのがおすすめです。


食塩の結晶は立方体のほか、フレーク状のものや雪の結晶のようなものが水面や容器の壁に付着することもあります。
中には針のように細長い結晶が沈殿していることもあるので、よーく探してみてくださいね。
ミョウバンは簡単にできるのは六角形バージョン。
カップの底面に接しているとこの形が生じやすいです。
たまに底面でも画像のような八面体の半欠け(=ピラミッド型の四角錐)ができるので、探してみてください♪


実験方法②:八面体のミョウバン結晶に挑戦
小さめの結晶は基本の実験方法で誰でも簡単に作ることができます。
さらにステップアップして、❝大型の単結晶❞を作ってみるのはどうでしょう?
実はちょっとした仕掛けを作るだけで、自由研究をブラッシュアップすることができるんです。
食塩でも同じ方法で大きな単結晶を作れますが、面白いのは断然ミョウバンです!
基本の実験の⑧で、種を取り出して飽和溶液中にぶら下げておくと八面体の結晶ができあがるんです。
「糸で縛って吊るす」というのが常套手段なのですが、実際にやってみると糸を結ぶのは至難の業!
(Uni が不器用なのかもしれませんが…)
そこで、おすすめしたいのが「銅線に刺す」という方法です。

まず、銅線を割り箸にくくりつけ、反対側の先端が溶液の中心やや下くらいにぶら下がる程度の長さで切ります。
この銅線の先端をライターなどの火で赤くなるまで熱し(やけどと火事に注意)、種にしたい結晶に押し付けます。
結晶は乾燥させたものを使い、金属製のピンセットで固定しておきましょう。
指で持てるサイズなら、火傷に気をつけて押さえてもOKです。
すると、熱で結晶が溶け、銅線が少し刺さります。
熱が取れて固まるまで、しばらく待ちましょう。
あとは基本の実験の手順⑨以降を行えばOKです。
静かに飽和溶液に漬けて、様子を見守りましょう。
蒸発させているうちに液面が下がってしまうので、結晶は溶液の中央より下あたりにぶら下がるのが理想です。

銅線のかわりに針金を使っても大丈夫。
でも、銅線の方が早く熱せるのでおすすめです。
太さは種結晶のサイズに合わせて使いましょう。
あまり太いと結晶の形に影響しますし、細すぎると結晶に刺すときにクニャッと曲がってしまい難しいです。
Uni が使用した画像の銅線(エナメル線)は、子どもが学校で購入した電磁石の教材キットの残り。
コイルの端っこを失敬しましたw
0.7ミリです。
最近多い❝ビニル銅線❞の場合は、そのまま焼くと臭いので、先端だけ剥いて使いましょう。
銅線の刺し方が弱いと途中で落下しちゃうので、いくつか作っておくのがおすすめですよ。
【学年別】実験を応用・発展させる方法やアイディア
以上のように実験自体は時々手を掛けるだけの❝放置系❞。
でも、実はいくつものポイントをクリアして、実験の条件を整えています。
逆に言うと、この条件を変えれば、別の実験(検証)が行えるわけです。
そこで!
条件の難易度を変えて、学年別の実験を提案します!
もちろん、興味があれば学年の上下に関わらず、やってみてくださいね。
前述の基本の実験と組み合わせれば、自由研究の内容もレベルもぐんとアップ。
ぜひ、トライしてみてください!
低学年編①:結晶でオブジェを作る
食塩でもミョウバンでも作れます。
「自分だけで最初から最後まで実験したい!」という頑張り屋のキッズには、食塩がおすすめ。
食塩の溶解度は温度に左右されないので、加温の必要がないため危険が少ないからです。
常温の水にひたすら溶かしていくだけで、放置しておけばできますよ。
一人できれいな結晶が作れたら、達成感も得られますね♪
では、原理と実験方法です。
前述の「基本の実験」手順で、作った水溶液を静置する際にラップを被せましたね。
これは空気中を舞っているホコリが落下すると、それを核にして小さな結晶がたくさんできてしまうことを防ぐことが目的でした。
逆に言うと、核になるものがあれば、それを中心に結晶が育っていくわけです。
そこで、市販のモールで形を作り、モールの毛(?)1本1本を核にして結晶を作ってみましょう。
ハート型や星型など自分の好きな形に整えて、割りばしにくくりつけ、食塩水の飽和溶液にぶら下げておけばOK。
(実験方法②の項参照)
この場合、透明感のない白い結晶に覆われることが多いので、モールは濃いめの色だとコントラストがキレイですよ。
また、キレイな立方体の結晶だけを付着させるには❝結晶を育てる❞ことも必要。
不揃いな結晶を取り除いてから再び飽和溶液に戻したり、後述する中学年の実験と組み合わせたりして工夫すると、研究の幅が膨らみますよ。
低学年編②:海水から食塩を取り出す
夏休みに海に行く機会があったら海水をペットボトルで持ち帰り、基本の実験④以降の手順で放置してみましょう。
この実験では前述の方法の手順③「溶け残りが出るまで食塩を溶かしていく」の必要はありません。
実験の原理は「溶媒蒸発法」となります。
では、どれくらい蒸発すれば結晶が現われるのでしょうか。
本実験は低学年向きとしていますが、濃度の計算ができる高学年の子供が行うなら、次の計算を自分で行うことで予想や考察が深まり、研究らしくなりますよ。
食塩の溶解度は20℃のとき37.8gです。
…すなわち、20℃の水100gに食塩37.8gまで溶かせることになります(理論値)。
したがって、溶解度に達している食塩水の食塩濃度は、
37.8÷(100+37.8)×100=27.4%
と計算できます。
一方、海水の塩分濃度(NaCl以外の塩分も含む)は約3.4%。
結晶ができる濃度になるには大部分の水分を蒸発させなければなりません。
夏の炎天下なら早く蒸発すると思いますが、宿題の締切に間に合わないようであれば殺菌を兼ねて海水を煮詰めてしまうのも一法です。
煮詰める場合、途中で鍋に付いた白い物質は食塩ではないので、そのまま続けてOKです。
終わったら速やかに鍋を洗ってくださいね。
9分の1くらいまで煮詰めたら、コーヒーフィルターでろ過しましょう。
海水中のプランクトンやゴミが結晶の核になってしまうからです。
ろ液を放置して結晶が出てくれば、食塩が海水に含まれていることの証明になります。
前述のように、食塩の結晶もミョウバンのように条件によって形が変わってきます。
どんな形で現れるか、楽しみですね。
もし違う形の結晶だったら、海水から基本の実験と同じようなキレイな立方体にするにはどうすれば良いでしょうか?
多学年の方法にヒントがあるので実践してみてもいいですし、実験がしたくなければ「ここを改良すれば立方体になるんじゃないか」というアイデアを理由とともに書けば、立派な考察が出来上がります。
来年の課題にしてもいいですね。
また、さらに発展させたい場合は、調べ学習として「食塩の作り方」に取り組んでみるのもおすすめです。
食塩の作り方である昔ながらの「塩田法」や「立窯法」は今回紹介した方法と原理は同じ。
少し難しいですが、イオンの透過性を利用して濃縮する方法などもあります。
海に囲まれた日本は、古来より各地で塩を作ってきました。
生命維持に欠かせない大切な塩だからこそ「敵に塩を送る」という諺も生まれたわけですね。
食卓に欠かせない食塩について掘り下げてみるのも面白いですよ。
食塩については、
塩のつくり方 | 塩百科 | 公益財団法人塩事業センター (shiojigyo.com)
がわかりやすくおすすめです、
調べ学習に活用してくださいね。
中学年編①:温度条件を変えてみる
5年生の多くの教科書で取り上げられている「ミョウバン」には❝温度が高いほどたくさん溶ける❞という特徴があります。
今回の実験では50~60℃でミョウバンを溶かしましたが、このとき溶ける量は20℃のときの4~5倍!
(記事末尾参照)
反対に、放置してだんだん溶液の温度が下がってくると、60℃のときは溶けていられたミョウバンが、溶けていられなくなって現れてきます。
これが結晶でしたね。
結晶は何かを核(中心)にして形が作られていくため、温度が下がることで現れた結晶が核となり、大きな結晶へと成長してくわけです。
すでにできている結晶を核として更に大きな結晶に育てるには、その周りに結晶の❝続き❞が作られなければなりません。
そして、結晶の続き(物質の分子がきれいに並び続けること)を作るには、温度をゆっくりと低下させることが重要なのです。
だから、実験方法の手順⑥でタオルでくるみ、急激に温度が変化しないように工夫したわけなんです。
実際に大きくするには、放置して❝溶媒蒸発法❞で濃度が徐々に高まっていくことも重要なのですが、その種を得る過程⑥でゆっくり温度を下げていくと正八面体の小さい結晶が得られるのです。
溶媒蒸発法では核となる種結晶の形の通りに大きく育っていきますから、形の整った種結晶を作るための手順⑥のタオルには大切な役割があったというわけ。
さて、それなら逆に急激に温度を下げた実験も行い、結晶のでき方の違いを調べてみれば「大きな結晶ができる条件」の研究もできることになります。
タオルにくるまずに放置したり、冷蔵庫に入れてしまってもいいでしょう。
氷水に入れるのもいいですね。
反対にもっとゆっくり温度を下げたらどうなるのかな?
発泡スチロールに入れたり湯煎しながら温度をゆっくり下げていくのもいいですね。
できれば温度計を挿しっぱなし(揺れないように固定)にして、温度の下がり方と容器の底の様子も記録を取っておきましょう。
いろいろ試せますね。
ただし、振動があると結晶ができにくい(分子が並べない)ので、仕掛けたら静置してくださいね。
一方、食塩は温度条件を変えても結晶の出方にミョウバンほどの違いは見られません。
なぜでしょうか?
ヒントは溶解度と温度の関係で結晶が析出する「温度降下法」が食塩に適切かどうか…です。
(溶解度は記事末尾参照)
ひと手間かけて、ミョウバンと一緒に食塩も仕掛けてみると実験結果の対比ができるので、考察が書きやすくなります。
1つの実験だけだとまとまりにくい自由研究も、複数の実験を組み合わせて結果を照らし合わせれば、深くてまとまりのある研究に仕上げられますよ。
中学年編②:色付きの結晶を作る
中学年だけでなく、全学年におすすめしたいのがコレ。
キレイなので作り甲斐がありますよ~。
手軽に作るなら、ミョウバンよりも食塩がおすすめ。
食塩の色付き結晶なら、放置する前の溶液に色素を入れ、自然蒸発させるだけ(溶媒蒸発法)でできます。
極端な話、加温するしないに関わらず溶ける量に違いはないので、常温の水でもOK。
子どもだけで実験しても火傷のリスクがありません。
問題は「何を使って色をつけるか」という点。
結晶の中に色素を取り込ませ、かつ、不必要に結晶の核になってしまわない色素が理想ですね。
色を付ける材料の適・不適を探すことをテーマに、実験してみましょう。
色素には、
- 水に溶けるもの:水溶性色素
- 水に溶けにくいもの:不溶性色素
があり、水溶性色素がおすすめです。
(あえて不溶性色素で実験してみるのもアリです。)
食用色素は溶けやすく発色がキレイなので、ぜひ挑戦してみましょう。
水性絵の具は水に溶けますが、中には顔料という色の素が細かい粒となって含まれています。
色素の組成によっては食塩水に溶かすと❝凝析❞という現象を起こし、沈殿物を生成してしまうことがあります。
このような理由のため、食用色素も水性絵の具も色によって結晶の着色に対する適・不適が異なるので、いろんな色を試してみるのがおすすめです。
もし、熱帯魚などを飼育していて、魚病薬の❝メチレンブルー❞があれば、これも試してみてください。
メチレンブルーはペットショップや熱帯魚ショップなどでも売っています。
別の成分が混ざっているものもあるので注意!
また、色素は大人の目の届くところで取り扱うようにしましょう。
さて、色付きの結晶を作るポイントは、色素と食塩(またはミョウバン)を溶かして静置した後の上澄みを使って放置すること。
ろ過しても良いですが、中には色素も取り除かれてろ液が透明になってしまう場合もあるので注意です。
(これも敢えて挑戦してみるのもアリ。)
また、可能であれば「基本の実験」でできた小さな結晶を種として、色付きの飽和水溶液の上澄み液に入れると早くキレイに成長しやすいのでおすすめの方法です。
どのくらいの色素量が適当だったか、結晶に取り込まれやすい色素の種類や色は何だったか、なぜそうなったのか…を考えてみましょう。
また、色素が取り込まれているのは結晶のどの部分でしょうか?
結晶ができる過程を振り返り、理由を考えてみてくださいね。
色素の組成は、メーカーの公式サイトを見ると細かく書かれていることが多いです。
参考にしながらまとめると、質の高い自由研究になりますよ。
さらに発展させたい人は、前項の「温度条件を変えてみる」をやってみましょう。
結晶は分子がキレイに並んだ状態です。
ゆっくり温度を下げたり濃度をあげたりすると結晶が大きく育つのは、不純物を排除する時間があるので分子がきれいに整列できるからです。
色素は結晶にとっては不純物ですから、より多くの色素を取り込ませるにはどうしたら良いのでしょうか。
色素の濃度を一定にして、温度などの条件を変えて結晶を作ってみると、おもしろい結果が出るかもしれませんね。
データと写真をたくさん取りながら結晶が染まっていく過程を追うと、読み応えのある自由研究ができますよ。
高学年・中学生編①:他の物質の結晶を作ってみる
食塩やミョウバンは結晶作りの定番中の定番。
入手しやすい物資である上に、手軽にきれいな結晶を作りやすいからです。
でも、他の物質でも結晶を作ることができます。
比較的簡単に取り組める順にあげていくと、
- 砂糖(上白糖)
ショ糖(C12H22O11)が主成分 - ホウ砂(ほうしゃ)
Na2B4O5(OH)4・8H2O - 尿素
CH4N2O
食塩と並ぶキッチンの常備品「砂糖(上白糖)」は最も入手が用意です。
実験にはグラニュー糖が適していますが、上白糖でも問題なし!
ただし、砂糖の仲間は溶解度が非常に高く、100g(=100ml)の水に20℃でも200g程度溶かせます。
今回は加熱するので300g使用します。
そのため、この実験をするときは砂糖を1袋買っておいてください!
どこででも買えるし、安いからいいですけどね。
さて、実験するには100gの水をきれいな鍋に入れ、沸騰したら上白糖を半分加えてよく混ぜます。
鍋の底に泡ができてきたら火を止め(焦がさない)、残りの上白糖を全部入れ、完全に溶かします。
カラメルソースを作っているみたいな良い香りがしますよ(^-^)
溶かした液を耐熱容器に入れます(熱いので注意!)。
しばらく置いて、液が透明になるまで冷まします。
ここに【低学年編①】のように形を作ったモールを入れてみましょう。
大きな結晶が析出してしまっている場合は濃度が下がってしまっているので、再溶解するか新しい液を用意しましょう。
もし、粒々の結晶がモールに付着しないで、底に大きな塊ができてしまうときは、人為的に種結晶を付けちゃいましょう。
モールを一度取り出して上白糖をまぶし、乾かします。
これを作り直した液に入れて、様子を見てみましょう。
このあたりの工夫をまとめて自由研究にする方法もありますよ。
モールではなく、割り箸などを使えばスイーツ❝ロックキャンディ❞として食べられます♡
コチラのサイトがわかりやすくておすすめ。
自分で成長する!?ロックキャンディーを作ってみよう! | お砂糖で学ぶ | SUGAR LAB / シュガーラボ (nissin-sugar.co.jp)
次に、ホウ砂について。
スライム作りで使ったことがある人もいるのではないでしょうか。
薬局などで入手しやすい素材です。
ホウ砂もミョウバンのようにお湯に溶かし、放置する方法で結晶が作れます。
100gの水に対し、大匙1杯くらいのホウ砂が目安。
結晶も割と大きく育つので、見ごたえがあるのもおすすめポイントです。
【低学年編】のようにモールをぶら下げることも可能。
一方、尿素は全く違う結晶作りに挑戦したい人におすすめです。
針のように細い結晶(針状結晶)が得られますよ。
工作・自由研究用のキットも売られていますが、尿素も比較的入手しやすいので、購入していろいろ試してみるといいのではないでしょうか。
実験の仕方は、結晶を作るだけなら40℃くらいのぬるま湯50mlあたり尿素20gを目安に溶かし、放置すればOKです(目的に応じて作成量を変更してください)。
ただし、非常に繊細でもろいので、水溶液を作るときに❝PVA系の糊(のり)❞を入れると結晶の崩れ防止になりますよ。
50mlの水溶液なら2~3滴落としておきましょう。
PVA系の糊は❝洗濯のり❞としてドラッグストアなどで市販されており、よく見かけます。
しかし、最も身近にあるPVA系のりは❝液体のり❞!
学校の必需品として余っても活用できる点が◎!!
有名な『アラビックヤマト』はPVA系(正確にはPVAL)が原料になっているので、この実験にも使えますよ。
ただし、液体のりのすべてがPVA系とは限らないので注意してください。
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さらに、尿素を紙などに浸み込ませ、そこで水分が蒸発することにより、針状の結晶をブロッコリーのように立体的に形成させることもできます。
円錐型(底面は不要)にしたコーヒーフィルターや、らせん状にしたモールなどを尿素溶液に立ててみてください。
コーヒーフィルターに水性ペンで色を塗っておくと、結晶が染まってきれいですよ。
染み込みにくい場合は食器用の中性洗剤を2~3滴たらしておくのも良いでしょう(クエン酸入りなどは不可)。
中性洗剤の界面活性力により、水の表面張力が失われるので浸透しやすくできますよ。
なお、尿素の取り扱いには少々注意が必要です。
尿素は化粧品などに保湿成分として配合されている物質。
尿素配合〇%…などのハンドクリームはよく見かけますよね。
なので、多少手に付いたとしても洗い流せば大丈夫。
ただし、目や口には入れないようにしてください。
また、塩素系漂白剤や酸性洗剤と混ぜると有毒な気体が発生する可能性があります。
ここで提案したPVA系液体のりや洗濯のり、中性洗剤以外のものと混ぜないでくださいね。
さらに、尿素は加熱しすぎるとアンモニアが発生するので注意が必要です(尿素の加熱分解)。
アンモニアは6年生の理科でも実験で使用しますが、目などの粘膜に対し非常に有害な物質です。
したがって、アンモニアが発生しないよう、尿素を溶かす湯はお風呂の温度くらいまで。
電子レンジや鍋などで直接加熱するのは厳禁です!
これらの注意事項は特別なことでなく、家庭にある化学合成品にはよく当てはまる事柄です。
過度に怖がる必要は全くありませんが、危険性を知り、正しく取り扱ってくださいね。
高学年・中学生編②:取り出せる結晶の量を予測しよう
さて、これまでは「結晶が出てきた!!」と見守ることが主流でした。
では、析出する結晶の量を予測することは可能でしょうか?
…答えはイエス。
物質と溶解度・温度の関係は分かっているので、そこから計算すればOK。
…実はこれ、高校の入試問題によく出るヤツです。
溶解度曲線から特定の温度の溶解度を読み取って計算する問題なのですが、今回はこれを実験でも確かめてみよう、というもの。
つまり、理論値(計算値)と実験で取り出せた結晶量(実測値)を検証してみるわけです。
例えば、60℃で飽和させたミョウバンは100gの水に57.3g溶けているはずですが、20℃だと11gしか溶けていられないはずです。
溶けきれなくなったミョウバンが結晶として出てくるわけですから、計算すれば予想がたてられますね。
溶解度曲線は中学校の理科資料集にも掲載されていると思いますが、本記事にも資料として溶解度を付記しておくので参考にしてください。
また、もう少し高度な実験もできます。
例えば、2種類の物質が混ざった水溶液から、片方の物質を取り出す…というのはどうでしょう?
結晶作りには❝溶解度❞が深く関係しており、物質はそれぞれ異なる溶解度を持っていることはすでに触れましたね。
さらに、温度によって溶解度が大きく変化する物質と、しない物質があることも述べてきました。
それなら、これらの性質を利用すれば、2つの物質が混ざった水溶液からどちらかを取り出せるのではないでしょうか?
実験に用いるのは、やはり「溶解度が温度で変化しない食塩」と「高温ほど溶解度が高いミョウバン」がやりやすいでしょう。
60℃で食塩とミョウバンの飽和溶液を作り、溶け残りが出たら上澄みを取って素早く20~30℃まで下げてみましょう。
食塩は温度が変わっても溶解度がほぼ変化しませんから、この温度変化による結晶の析出はほとんどないはずです。
…ということは、温度変化により出てきた結晶は…?
予想してみてください!!
え?
析出した結晶が食塩かミョウバンだって確かめる方法??
析出した結晶(多少の混ざりはあるかもしれませんが)を水道水でサッと水洗いし、ちょっとだけ舐めてみましょう。
食塩はもちろん、ミョウバンも食品添加物なので、ほんのちょっと舐めるくらいなら大丈夫(ちょっとだけですよ)。
食塩そのものとなめ比べて、同じなら食塩、明らかに塩味が薄ければミョウバン!…としてもいいんじゃないでしょうか(笑)。
もっと厳密にするなら、取り出した結晶だけでもう一度、60℃くらいの飽和溶液を作ります。
飽和溶液の量は取れた結晶の量に応じて少なくしてくださいね。
そして、この溶液で基本の実験と同じように結晶作りをします。
出来上がった結晶の形から取り出した物質の正体がわかりますね。
放置系とは言え手が掛かりますが、論理と検証ができるので、自由研究としての中身もボリュームも十分!
高学年にはちょっと難しい論理かもしれませんが、計算自体は小学校低学年レベル!
ぜひ挑戦してみてください。
おまけの調べ学習
今さらではありますが、「結晶」とは何でしょう?
分子が規則正しく並んだ立体構造である…とサラッと触れましたが、自分の言葉や図解で説明することが大切です。
分子レベルの話は小学生にはちょっと難しいかもしれませんが、分かる範囲で大丈夫。
ネットで調べても良いですが、小学生向けの百科事典などの方がわかりやすいです。
また、私たちの身の回りには「結晶」が意外とたくさんあります。
これについて調べてみるのも楽しいですよ。
「食塩」「砂糖」はもちろん結晶。
「岩塩」や「氷砂糖」はもっと結晶らしい感じがしますね。
身近にほしい結晶(笑)には、
- ダイヤモンド(炭素の結晶)
- サファイア または ルビー(酸化アルミニウムの結晶)
- 水晶(二酸化珪素)
などがあります。
宝石の多くは結晶体だったんですね~。
青い宝石「サファイア」と赤い宝石「ルビー」はどちらも同じ❝酸化アルミニウム❞の結晶です。
なぜ色が違うのかは調べてみてくださいね。
また、宝石の結晶が自然界でどのようにできるのかも併せて調べてみると良いでしょう。
今回の実験のコツと同じ現象が自然界で起こるから宝石という結晶ができるのだと理解できることでしょう。
「実験」と「現実(自然現象)」の関連も科学では重要な要素です。
自由研究の考察や、最後のまとめ部分などで言及すると良いでしょう。
実験が失敗したら…
放置系の実験は簡単にできる反面、少し時間がかかるものもあります。
今回の結晶を作る実験にしても、基本の実験で小さな結晶を作るだけなら1日または2日あればできますが、大きく育てようとすると、1~2週間、条件によってはそれ以上かかるかもしれません。
そのため、実験が失敗してもやり直す時間がない…という事態にもなりかねませんね。
でも、失敗もれっきとした研究の結果です。
自分が行った手順で行ったらこのような結果で終わった…というだけなのです。
大切なのは「なぜ予想と違う結果が出たのか」「なぜ他の人のような結果にならなかったのか」を検証し、それを言葉でまとめることです。
本来❝研究❞とは答えがわかっているものではありません。
なぜ「そうなっているのか」「そうなったのか」を突き止めるのが研究なのです。
自然科学は繊細です。
全ての条件が一致していれば再現できますが、何か1つ異なるだけで全く違う結果になることも珍しくありません。
でも、その❝1つだけ異なっていたもの❞が違う結果につながるキーワードなのです。
その1点にどのように気づいたか、どうすれば改善あるいは発展させることができるのか…
それを❝見つける洞察力❞と❝考える思考力❞を養うことが、夏休みに自由研究が宿題として出される理由です。
この2つこそ文科省が掲げる❝問題解決力❞の礎になるからです。
一般的な❝正しい❞結果が出なくても、ちゃんと自由研究は成立します。
何が失敗の原因だったのか、どこを改善すれば成功するのか、どちらも理由を添えて示せば立派な研究と言えるのです。
資料
【 溶解度 】
“理科の自由研究【放置編:身近な宝石❝結晶❞を作ろう】小学生・中学生に最適のアイデア集!簡単・手間なし実験でも完成度を上げる方法とコツ” に対して4件のコメントがあります。
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